知られざる絶景がいっぱいの感動王国
2019年より日本など各国からの旅行者の受け入れが始まり、「2030年に国内外からの年間観光客数 1億人」を目標にかかげるサウジアラビア王国。これまで神秘のベールに包まれていたこの国は、旅が好きな人にとって、最後に残された憧れの地です。

そこで、このたび来日した、サウジアラビア政府観光局のアルハサン・アルダッバグ氏にその魅力を聞いてみました。

「サウジアラビアと聞いて、多くの人は砂漠や油田を思い浮かべ、灼熱の国をイメージするでしょう。でも、南部に行けば涼しく、北部の山岳地帯には雪も降る、そんな美しい国です。そして、旅においていちばん大切な、歓迎の心にあふれる国でもあるのです」

アルダッバグ氏によれば、サウジはまさに、アラブの真髄が凝縮している国。
「数千年前の古代遺跡、手つかずの大自然、伝統文化を受け継ぐ村もあれば、首都リヤドのようなグローバルシティもあります。さらに砂漠、珊瑚礁、アート……、これほど多様な体験ができる国は、ほかにありません。UNWTO(国連世界観光機関)でも、世界で最も急成長しているデスティネーションとされ、私たちは、世界TOP 5の旅先を目指しています」

さて、まず気になるのが治安のこと。
「サウジは、とても安全に旅を楽しめる国。治安の良さは、国際ランキングで上位をキープしていますし、女性も安心して旅行できます。先日も、サウジ第2の都市ジェッダを訪れたアメリカ人の女性旅行者から、“深夜の散策が楽しかった!” とのコメントをいただきました」

女性も安心して旅行を楽しめる国、サウジアラビア。服装も過度の露出がなければ、基本的に自由とのこと。
「ふだんは、みなさんと同じような服装ですよ」と話すのは、観光局の女性スタッフ。
「民族衣装のアバヤは、日本でいえばキモノのようなもの。お祝いなどの特別な席や、フォーマルな場所に着ていくのは、私たちにとって喜びですし、楽しみでもあります。かわいいもの、ゴージャスなものなど、いろいろなデザインがあって、とてもファッショナブル。しかも快適なんですよ」

ちなみに、サウジの人にとって大切なアバヤ。私たちが着てもよいものでしょうか?
「もちろん! むしろ、ぜひアバヤを体験してほしいです。“写真を撮らせて” と、きっとサウジの人からたくさん声をかけられると思いますよ(笑)」

アルダッバグ氏によれば、「サウジでは、さまざまな高級ブランドなどのショッピングも楽しめるほか、女性のアバヤ、男性はトーブと呼ぶのですが、これらをご購入されるのもおすすめ」とのこと。
「でも、やはり私たちの国は、ほかのどこにもない体験。これこそが “買い” だと思います」

「先日は、南部ジャザンの山岳地方へバイク旅行をしました。ブラックマウンテンがそびえ立ち、その山頂付近には、細い道路が一本。右を見ても、左を見ても、ただ雲海だけが広がっていて……。とても感動しました」

では、初めてのサウジ旅行、絶対行くべき場所はどこですか?
「やはり、首都リヤド、古代都市アルウラ、そして紅海の港町ジェッダ。私たちは、この3つを〈ゴールデントライアングル〉と呼んでいます」

「なかでもアルウラは、この地域全体が博物館のような場所。数千年前に栄えたナバテア文明を体感して、さらに夜になれば素晴らしい星空が。これはまさに唯一無二です」

「そして、サウジならではといえば、多彩なグルメ体験も見逃せません。サウジ料理は、野菜や豆などを使ったヘルシーなものが多く、滋味にあふれます。また、3ツ星クラスの世界各国料理も味わえます」
そこで気になるのが、お酒のこと。サウジのアルコール事情は?

「これがいちばんよく訊かれる質問ですね。そして、その答えですが、サウジアラビアではアルコールは禁止。私たちの国は、自らのアイデンティティを守り、それも国の魅力として体験してほしいと考えています」
日本の約6倍の広大な国土に、豊かな自然、歴史文化が育まれ、受け継がれてきたサウジアラビア。
「私たちの国に来れば、アルコールのことをすっかり忘れてしまうほどの、圧倒的な体験をみなさまにお約束します。アルコールデトックスにもなって、一石二鳥ですよ(笑)」

人口の約70%が35歳以下というサウジ。若い世代が多いことから、街には活気があふれ、音楽やアートなどのイベントも多数開催。近年は、中東のアートセンターとしても脚光をあびています。
そして、サウジ国民は、子供のころから『ドラゴンボール』や『ワンピース』など、日本のアニメを見て育ち、親日家が多いとのこと。
「サウジアラビアは、とにかく “We Love Japan” な国。ぜひ一度、私たちの国にお越しください。サウジアラブならではの “ハファワ(おもてなし)” の心で、みなさまを歓迎いたします」
サウジアラビア政府観光局 日本語ウェブサイト
【サウジアラビア旅行の基本情報】
●ビザ/ウェブサイトでのeVisaを取得により、90日の滞在が可能。●アクセス/ドバイ、アブダビ、ドーハなどの都市を経由して、首都リヤドまで約13~15時間。●服装/過度の露出を控えれば、基本的に自由。モスクや聖地を訪れる際は、女性はアバヤ着用がおすすめ。●物価/おおむね日本と同じくらい。通貨はサウジアラビア・リヤル(SAR 1=約38円/2023年6月現在)
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2023.06.09(金)
文=矢野詔次郎
写真=鈴木七絵(人物)、サウジアラビア政府観光局