これまで訪ねた世界のホテルの数、なんと2,000軒以上!

 「ホテルが生活の一部」と語る野尻佳孝さんの愛するホテルとは? 訪れたホテルの中からおすすめの9軒をご紹介。

 さらに、野尻さんのホテルへの熱い想いと、日本国内で手がけた2軒のホテル、TRUNK(HOTEL)とTRUNK(HOUSE)もご紹介します。


世界中のホテルを旅した野尻佳孝さんが愛するホテルとは?

 毎年、息子と“男旅”をしています。今、9歳ですけど、7歳のときにイタリア、8歳でフランス。今回はドイツに行く予定でしたが、この状況では仕方ありません。

 イタリアでは昭和天皇も滞在されたホテルから、アルマーニ、ブルガリまで全部泊まりました。たぶん日本でいちばん海外のホテルを泊まり歩いている9歳でしょうね。

 フランスでは、仲良しのパディーが経営しているヴィラ・ラ・コストにも泊まりました。世界中からアーティストや建築家を招いて作品を作ってもらっていて、とにかくセンスがいい。

 また、彼はミシュランの星にはこだわらないのですが、ここのレストランも素晴らしい。おしゃれしたゲストが美味しいワインを飲みながらアートの話をしていたり。素敵だったなぁ……。

 パリでは、ブラック・パリ。フィリップ・スタルクが手がけたホテルで、面白いのが、屋上に農園があるところ。サステナブルを取り入れた、新しいスタルクを見ることができます。

あの胸の高揚感……それがホテル人生の原点

 小さいころからホテルが好きで、家族でオークラやニューオータニにはしょっちゅう行っていました。

 26歳で会社を立ち上げてからは、僕を最初にスポンサードしてくださった恩師が“世界の一流を学ばないといけない”と、欧米の名だたる5ツ星に連れていってくれ、彼のプライベートジェットでアマンを巡ったこともあります。

 衝撃を受けたのが、ニューヨークのハドソンとソーホーハウス。学生のときに初めて行った芝浦ゴールドでの「なんだこれはっ!」というあの驚き。

 あのときの心躍る気持ちは一生忘れませんし、この2つのホテルでは、その感覚が蘇りました。夜な夜なスターたちが集っては、お酒を飲み、音楽を聞きながら、クリエイティブな話をしている。

 「かっこいいなぁ……」。いつかこんなホテルを作ってみたい、そう強く思いました。

 この約10年で面白くなった街といえばロンドン。その仕掛人が僕の尊敬するホテル経営者、アンドレ・バラージュです。

 チルターン・ファイアハウスは、消防署をリノベしたホテルで、館内には秘密の場所につながる隠し扉があります。

 それを「ねえ知ってる?」と教えてくれたのが、遊び仲間の野村訓市君。行ってみると、なんとロンドン中のセレブが集まっている。

 「うわー、こんなの東京でもやってみたい!」と思いましたね。

写真=橋本篤
文=井筒麻三子、矢野詔次郎
構成=矢野詔次郎

この記事の掲載号

進化する世界のホテル

CREA Traveller 2021年冬号

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定価1,350円 (税込)

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