東京の本当のポテンシャル、それを掘り起こすホテルを作りたい
僕、ふだんは1年の3分の1は海外。さらにその3分の1が家族との旅行です。「コロナ禍が落ち着いたら、どこ行きたい?」って、家族でもよく会話します。
この質問、メディアからも時々されますけど、つい「ミーハーかな」と思って言わずにいるのですが、心の中ではハワイ。空港に降りた瞬間のあの匂い……。僕のハワイは匂いから始まります。
家族もハワイは大好きですが、最近強く印象に残ったのは、モルディブとオマーン。
モルディブは王道だけれどソネバジャニがやっぱりいい。でも、あの滑り台、結構怖いですよ(笑)。
食事しながら大スクリーンで映画をみて、アイスクリームルームで子どもは大喜び。夜、天窓を全開にすれば満天の星。ぜひ行ってほしいホテルです。
オマーンは、標高約2,000mの5ツ星、アリラもよかったですし、デザート・ナイツ・キャンプもおすすめ。
ラクダトレッキングに家族4人で参加して、面白かったなぁ……。そして、360度地平線の砂漠の真ん中でサンセット。本当に気持ちよかった。
今、行きたいのは、スンバ島のニヒ。世界の富豪サーファーが集まる場所で、一度チャレンジしてみたい。砂浜での乗馬は、家族で体験したいです。
ブティックホテルが東京をもっと面白くする
現代は、価値観の変化が世の中を引っ張る時代。それに対応できるのが、ブティックホテルだと思います。
SNSで世界中の情報が簡単に得られる今、未体験のリアルが最もラグジュアリーだと考える人が増えていて、それとともにブティックホテルも世界的に増えています。
トランクホテルでは、「日本にもブティックホテルがどんどんできたらいいね」という思いを大げさに表現してみました。
僕ら、トランクは東京にしか作らないと決めています。東京にもっと豊かなホテルを作りたいし、僕らにしかできないラグジュアリーの表現をホテルでしていきたい。
トランクハウスでは、神楽坂の老舗料亭を1日1組限定のホテルにしました。すると、世界のヒップスターがすぐ来てくれて。
KAWS、トム・サックス……、彼らが「また来たい!」と思える場所を、東京はまだまだ作れると思っています。
超高層ビルの谷間に古民家が佇む。こんなカオスな街、東京だけです。パリやロンドンのように景観条例が厳しくないことを価値にして、この街はもっと面白くできる。
みんな旅先では、地元の人がわくわくしている場所に行きたいですよね。だから、東京人がわくわくする場所を作る、それが今、僕らのやりたいことです。
トランクでは、次に富ヶ谷に新しいホテルを開業します。そこは、東京人が週末にエスケープしたくなる場所にしたい。
“アマンジャンキー”のように“トランクジャンキー”たちが、「ここに泊まりたいから、また東京に来る」。
そんなふうに思ってもらえるホテルを作っていきたいですね。
写真=橋本篤
文=井筒麻三子、矢野詔次郎
構成=矢野詔次郎