こだわりの強いブティックホテルで味わう、非日常が今、世界的に注目されています
僕たちの会社では、毎年チームを作って世界のホテルを巡る旅をします。最近ではオーストラリアに行きました。仕事ですから決して楽しいものではないですけど(笑)。
パリのホクストンも好きですし、ジョージアのスタンバには驚きました。
これまで2,000軒以上に泊まりましたが、いちばん好きなホテルは、ロサンゼルスのプティ・エルミタージュ。
ここは、スタッフが全員役者さん。だから面白い。ハリウッド最前線のプロデューサーもゲストとして来るから、デビューのきっかけになることもある“ザ・アメリカ”な世界です。
一方、地元のヒップスターも“ここが俺たちの庭”みたいな感じで集う。「エルミタージュみたいなホテルを東京に」。それが目下、僕たちの合言葉です。
世界にはまだ見ぬ感動の空間がいっぱい
イビザにも面白いホテルがあって、それがラ・グランハ・イビザ。デザインホテルズのオーナーが手がけていて、知る人ぞ知る場所です。
それで、チェックインの3日くらい前から何回も電話がかかってきて、なんだか面倒臭い。
「何時に到着するんだ?」「アレルギーはあるか?」。ついには「今、どんな気分だ?」。というのも、ここは食へのこだわりが半端ない。
自家農園をもち、肉や魚介も地元産。毎日変わる食材を、ゲストの気分と希望に完全にマッチさせたいのだと言うのです。「え!?」。それを聞いて今度は嬉しくなりましたね。
今、ヨーロッパでみんなが「ねぇ行った?」「もう行った?」という感じの旬の場所がトルコのボドルム。タイラーも「絶対行ってこい!」というので、マカキジに泊まりました。
かっこいいインフィニティプールがありますが、そこには誰もいなくて、海沿いに並ぶデッキに、各国のヒップスターがずらり。
そして暑くなってきたら海にダイブ。エーゲ海は塩分が強くなく、さらっとしているので最高です。
唯一無二といえば、7132ホテル。ここはハイジに出てくるようなアルプスの絶景が目の前。
ホテル棟は2つあり、安藤忠雄さんや隈研吾さんも手伝っている。スイートルームに泊まるゲストには、ホテル所有のヘリでの送迎付きです。
そしてこのホテルといえば、世界最高の建築デザインで作られたスパ。神秘的なお風呂もあったりして、1週間いても飽きません。
北欧の都市も好きですね。住み心地のよさと、あの独特の空気感。
エトヘムは、オーナーのセンスがよくて、本当におしゃれ。もともと台所だったところで味わう食事も美味しいし、感銘を受けたのがフラワーコーディネイト。
ふつうホテルでは、お花を替えるのはゲストがいない時間帯。でもエトヘムでは毎日、市場でいちばん旬なお花を選んできて、それをベストなタイミングで活ける。
だから、ゲストもその様子を眺めることができて、その姿が美しい。まさにヨーロッパ的なエレガンスがここにありました。
写真=橋本篤
文=井筒麻三子、矢野詔次郎
構成=矢野詔次郎