2023年1～4月にCREA WEBで反響の大きかった記事ベスト7を発表します。カルチャー部門の第6位は、こちら！(初公開日 2023年3月14日)
「10年もバンドを続けてこられたことがすごくうれしい」
2013年5月に活動を開始し、今年で結成10周年を迎える4人組バンド・sumika。
そんな彼らが、アコースティック編成であるsumika［camp session］として1stミニアルバム「Sugar Salt Pepper Green」を3月15日にリリースする。完全生産限定盤のアナログレコードで発売される本作では、sumika［camp session］ならではのあたたかみのある手ざわりをより一層感じ取れるはずだ。
CREA初登場であり、残念ながら最後となってしまったsumika4人でのインタビュー。彼らは時に真剣に、時に笑いを交えながら、この10年の歩みやバンドの在り方、sumika［camp session］としては初となる音源制作の日々について語ってくれた。
こちらのインタビュ―取材は2023年2月15日(水)に実施されたものです。2月23日(木)、sumikaのギター／コーラスの黒田隼之介さんが逝去されました。心よりお悔やみ申し上げます。
――結成10周年、おめでとうございます。振り返ってみて、どんな10年間でしたか？
片岡健太(Vo／Gt) 僕らは、メンバー4人だけで演奏をやり切るオールインワンタイプのバンドではなくて。毎回ゲストメンバーを迎えてライブをしたり、楽曲をレコーディングしたりするスタイルなので、いろいろな方の手を借りて、心をいただいて歩んできた10年でしたね。
黒田隼之介(Gt／Cho) メンバー4人だけだと、けっこう皆さんポンコツなので……まあ私が一番ポンコツなんですけど(笑)。いろんな人のお力があって、目の前にがんばりたいことがあって、それをひたすらがんばっていたら、気が付いたら10年経っていたという。幸せだなあと思ってますね。
小川貴之(Key／Cho) 俺は途中で加入したので、正確には8年なんだっていうことに……つい最近気が付いて(笑)。
全員 あはははは(笑)。
小川 10年一緒にいるもんだという感覚だったので。だから、ひたすら濃かったんでしょうね。いろんな人を迎えて、いろんな“柱”を立てて広げていった“sumika”なので。規模が大きくなった喜びもあるし、それに対して寂しくなった人もいるんじゃないかなと。でも、「全員ちゃんと忘れてないんだよ」っていう意識を持ちながら音楽を作り続けています。
荒井智之(Dr／Cho) 昔と今ではsumikaのことを好きと言ってくれてる方々の年齢層や幅もどんどん広がっていますからね。お母さんと一緒にライブ会場に来てくれる方もいて。sumikaを聴いてくれて、観てくれるみんなで作ってきたバンドなのかなと思いますね。
――10周年を前に、改めて“sumika”とはどんなバンドだと思いますか？
片岡 不完全なバンドですね。
全員 うんうん。
片岡 まず、ベーシストがいないし(笑)。例えば水泳選手だったとして、僕らはクロールが泳げないのにメドレーやってるみたいな感じなんですよ。それなのに「水泳選手でーす！」って言ってるようなバンドだと思います。「クロールは泳げる人に任せれば良くない？」っていう考え方なんです(笑)。
――不完全だけど、それはそれで正解だと。ここまでバンドの規模が大きくなって、たくさんの人から愛されている状況で「不完全です」と言えることがsumikaの良さですよね。
片岡 メンバーみんな、これが初めて組んだバンドではなくて。過去に組んでいたバンドは、それぞれいろんな理由があってうまくいかなかったんです。各々負ってきた傷もあるし、失敗の経験もあるからこそ、身の丈にあったものをやろうと。背伸びしたり、誇張したものだったりっていつかバレるから、等身大で表現しないと。そこに対して嘘をつきたくない気持ちがメンバー全員にあるのは、かなり助かりますね。
黒田 それが大きな共通財産だと思ってますね。例えば、がんばってやったことがすごくうまくいったとして、もちろん「やったぜ！」とは思うんですけど、そこで調子に乗りすぎないというか。なんでうまくいったのかを分析して、それを次につなげたい。長く続けていくためには、ようやく掴んだ成功の上に、新しいものをちゃんと積んでいかなきゃいけないと思うので。一回失敗してるからこそ、慎重になるんだろうなとは思います。
――大人なバンドですよね。
片岡 まあ、若かないですよね、決して(笑)。
全員 あはははは(笑)。
2023.05.02(火)
文＝石橋果奈
撮影＝深野未季
スタイリスト＝加藤“runpe”将(IN THE FLIGHT inc.)
ヘアメイク＝URI
