2023年は時代小説家・池波正太郎生誕100年

 さらに今年は時代小説家・池波正太郎生誕100年。早速公開中の映画『仕掛人・藤枝梅安』も観にいったが、お粥と湯豆腐がむちゃくちゃおいしそうであった。池波作品は原作も映像も、食事シーンの威力がハンパではない。来年5月には『鬼平犯科帳』も公開となる。鬼平といえば軍鶏鍋。クーッ。楽しみだ!

 2010年頃から時代劇離れがすすみ、連続ドラマがどんどん減っていったが、今は、不思議と時代劇に新しさすら感じる。ガッツリ史実に基づいたものはもちろん、SF的な要素があるものも、歴史を好きになる素晴らしい入り口だ。

 時を超えて、歴史を作った人たちの偉業を知り、様々な説を深掘りする。それが壮大なイマジネーションを呼び、目の前に映像となって流れるのは、本当に、本当にすごいことだ。

 思い返せば、私が映画館ではじめて観た邦画は、父に連れられて行った黒澤明監督の「影武者」(1980年)。当時はキョトンだったから、もう一度観てみよう。

 横で、目を輝かせながら観ていた父の興奮も、時を超えて分かればいいな、と思うのである。

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田中 稲(たなか いね)

大阪の編集プロダクション・オフィステイクオーに所属し『刑事ドラマ・ミステリーがよくわかる警察入門』(実業之日本社)など多数に執筆参加。個人では昭和歌謡・ドラマ、都市伝説、世代研究、紅白歌合戦を中心に執筆する日々。著書に『昭和歌謡出る単1008語』(誠文堂新光社)など。
●オフィステイクオー http://www.take-o.net/

Column

田中稲の勝手に再ブーム

80~90年代というエンタメの黄金時代、ピカピカに輝いていた、あの人、あのドラマ、あのマンガ。これらを青春の思い出で終わらせていませんか? いえいえ、実はまだそのブームは「夢の途中」! 時の流れを味方につけ、新しい魅力を備えた熟成エンタを勝手にロックオンし、紹介します。

2023.02.28(火)
文=田中 稲