この記事の連載

 大人気の美容家、石井美保さんに、最新書籍『スキンケアで肌を毎日いためていませんか? こすらなければ、美肌』についてお聞きした前篇に続き、今回は肌にコンプレックスがあった学生時代の失敗談や、石井さんが思う「美しい人」像など、よりディープにお話を伺います。

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色黒、乾燥、小ジワ……。コンプレックスだらけの学生時代

――本当に近くでお会いしても、信じられないくらいの美肌ですよね。もともと肌がキレイだったんですか?

 皆さんによく言われるのですが、全くそんなことはなく、30代始めまでは褒められたことはありません。「若いころの写真を見せてください」と言われることがありますが、本当に2~3枚しかないんです。周りの友人と比べて肌が黒い自分にコンプレックスがあって、カメラを向けられても避けてきましたから。

 ですから、ファンデーションを厚塗りしてカバーし、夜落とすときも洗浄力の高いものでゴシゴシとこすっていました。その結果、乾燥肌で小ジワもあり、色も黒く、毛穴に角栓が詰まっているような状態でした。

――今では考えられないですね……。変わるきっかけはいつくらいだったのでしょうか?

 大学生の時ですね。ネイルがとても流行していて、当時、スカルプチュアという爪に長さを出す施術やネイルアートをしてもらったとき、すごくときめいて、指先が変わっただけなんですけど自分に自信が生まれたんです。その時、私も誰かに自信を与えられるような仕事をしたいと思いました。

 その後、自分自身がキレイになることよりも、お客様をキレイにしたいという想いがさらに高まり、20代後半にまつ毛エクステのサロンをオープンしました。

――好きが高じたんですね。そこから美容法が変わったのでしょうか?

 そうですね。まつ毛エクステを長持ちさせるために、顔の洗い方を研究し、無造作にゴシゴシと洗っていたのをそっと洗うようにしました。するとたった一週間で肌の赤みが引き、目もとのシワまで減ったのです。偶然の産物である「こすらない洗顔」で、肌悩みが改善したのには本当に驚きました! そこからは「こすらない美容」を徹底し、今ではこれを広めることが美容家としての使命だと感じています。

 30代前半から自分自身で実験を続けてきて、今、キレイと褒めてもらえるようになったんですよ。4年前の写真を見ると、今より老けて見えるくらいです。

アカスリグローブで顔をこすり、ヒリヒリに……

――今だったら考えられない! というような、肌をいじめていたご体験はありますか?

 ちょうど大学生のときに、韓国式のアカスリブームがありました。アカスリをするとつるつるになるし、肌色がワントーン明るくなるので嬉しくなり、ボディだけじゃなく顔もあのグローブでゴシゴシこすってしまったことがあります。案の定、ヒリヒリして大変なことになりました(笑)。

 ほかにも、「つるつるして肌が明るくなる!」という粗塩ブームに乗り、力強くこすって赤くなってゴワゴワになったこともあります。今は力の加減を知っていますが、当時は何も知りませんでしたから……。いろんな失敗を重ねましたが、とにかく肌をこすらない=「こすらない美容」にたどり着いて本当に良かったと思います。

2024.07.18(木)
文=増本紀子(alto)
撮影=釜谷洋史
ヘア=Ruri
スタイリング=今村仁美