大規模なリニューアルも進行中

 カアナパリは、マウイ島随一のリゾートエリア。様々なホテルが軒を連ね、ショッピングモール「ホエラーズ・ビレッジ」はツーリストで賑わう。

 その中にあって、1964年の開業以来、長い間愛され続けてきたのが「カアナパリビーチホテル」だ。

 このホテルは、“ハワイで最もハワイらしいホテル”と呼ばれる。ロビーに一歩足を踏み入れたなら、その理由がスッと腑に落ちることだろう。

 セピア色に染まったフラの踊り手たちの写真、王国時代に関する展示物……。古のハワイを思わせる不思議な懐かしさが、身を包んでくれるのだ。

 しかし、このホテルは決して過去にしがみついてはいない。常に進化を続けている。2020年からは、大規模なリニューアルがスタートした。

 刷新の象徴が、ビーチフロントレストラン「フイフイ」のオープン。ハワイの伝統航海術をテーマとしたインテリアが楽しいこのお店では、モロカイ島とラナイ島の景色を愛でながら、マウイの新鮮食材を生かした料理を楽しめる。

 客室の改装も進む。真新しい客室には、貝殻のレイ、ルアーなど、従業員が作った海にまつわるハワイの工芸品が額装されている。

 また、ハワイの固有植物の博物画も壁を飾り、このホテルのハワイらしさはさらに増すばかり。

 宿泊客がこのホテルを去るにあたっては、中庭で「ククイナッツレイセレモニー」が催される。ククイは、ハワイ州の州木にも認定された、この島々の文化にとってとても重要な意味を持つ木。その実を連ねて作ったレイを、ゲストの首にかけ、旅の安全と再会を祈るのがこの儀式である。

 初めて泊まったゲストには濃色のナッツだけのレイが授与されるが、リピーターにはその滞在ごとに、一つずつ濃いナッツを白いナッツに入れ替える。

 つまり、このホテルに宿泊を重ねるたび、レイはだんだん白さを増す。ホテルとゲストとの強い絆を感じる、微笑ましい計らいだ。

 ビジネスライクではない、スタッフの気持ちのぬくもりが伝わるホスピタリティ。それを感じたいがため、多くのゲストは、ここに何度も帰ってくる。

楽しみながらハワイアンカルチャーを学ぶ

すべて無料のカルチャープログラム、そしてオーシャンアクティビティも充実。
〈右〉チャントを詠唱するところから始められるククイナッツレイセレモニーは、チェックアウトの時間に合わせ、1日に4回行われる。〈中央〉ハワイ固有種の植物、ハラの葉を使ったラウハラ編みのレッスンは、ロビー近くの「カヴェナオケアオ・カルチャー・センター」にて開催される。〈左〉ガイド付きの6人乗りアウトリガーカヌーでのツアーは、1回90分。

Kaanapali Beach Hotel(カアナパリビーチホテル)

所在地 2525 Kaanapali Pkwy., Lahaina
電話番号 808 661 0011
客室数 432
料金 1室 $344.02~
https://www.kbhmaui.com/

Column

CREA Traveller

文藝春秋が発行するラグジュアリートラベルマガジン「CREA Traveller」の公式サイト。国内外の憧れのデスティネーションの魅力と、ハイクオリティな旅の情報をお届けします。

2023.01.17(火)
文=CREA Traveller編集部
撮影=橋本 篤

CREA Traveller 2023 vol.01
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。