〈あらすじ〉
1955年、トム・パーカー大佐(トム・ハンクス)は、黒人のような歌声とセクシーなパフォーマンスで若者を熱狂させる、新人歌手エルヴィス・プレスリー(オースティン・バトラー)を発見する。大佐がマネージャーになると、彼は瞬く間にスターとなるが、激しいパフォーマンスに対する保守層の反発、最愛の母の死、取り巻きによる浪費や人気の低迷など、数々の困難に見舞われる。
その後、カムバックに成功して再び絶頂期を迎えたエルヴィスは、海外ツアーを熱望。しかし、大佐はそれを無視してラスベガスでのショーを複数年契約してしまう。やがて、エルヴィスの肉体と精神は次第に疲弊していき……。
〈解説〉
42歳の若さで急死したスーパースターの人生と死の謎に、彼とマネージャーの関係から迫る伝記映画。『華麗なるギャツビー』に続くバズ・ラーマンの脚本・監督作。159分。
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中野翠(コラムニスト)
★★★★☆若き日のプレスリー役の俳優は野性味に欠けるが懐かしい曲の数々に、やっぱり興奮。T・ハンクスの映画のようでもあり。
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芝山幹郎(翻訳家)
★★★★☆バサラ趣味なのに内向的。大佐という負のカードが、監督と主人公をつなぐ体質を炙り出す。それでもエルヴィスは謎だ。
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斎藤綾子(作家)
★★★★★寂しくて死にそうなほど、ママ大丈夫さ、そう歌うエルヴィスの色気に悩殺。愛溢れる物語にマネージャーが邪気を放つ。
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森直人(映画評論家)
★★★★☆主演A・バトラーが最高。グラムロック的な過剰の美学を強調したエルヴィス像。この監督でしか味わえぬ固有の世界だ。
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洞口依子(女優)
★★★★☆エルヴィス誕生の稲妻級な衝撃を体現するA・バトラー。監督お得意のキラキラ感はキングの光と影と反骨にフォーカス。
『エルヴィス』(米)
新宿ピカデリーほか全国公開中
https://wwws.warnerbros.co.jp/elvis-movie/
2022.08.04(木)
文=「週刊文春」編集部