「これ、すごく好き」と思えるモノは、自分らしさの種となり、あなたという人の輪郭を描いてくれるものになる。ジュエリー・ディレクター伊藤美佐季さんおすすめのアイテムを紹介します。


VAN CLEEF & ARPELS

ブレスレット「ヴィンテージ アルハンブラ」

1968年に誕生して以来、メゾンのアイコンとして不動の人気を誇る「アルハンブラ」コレクション。繊細なチェーンやモチーフを取り巻くビーズなど、すべてが美しく完成された美を放つ。「同じデザインでも素材によって印象がガラッと変わります。私のように辛口でモダンなスタイルが好きという女性には、オニキスがおすすめ。以前ロックなイメージの大物女優さんが『アルハンブラ』を着けていて、その意外さが格好いいなと思ったんですね。『アルハンブラ』って、どんなスタイルにも映えるジュエリーだと思います」。「ヴィンテージ アルハンブラ」ブレスレット(YG×オニキス)478,500円/ヴァン クリーフ&アーペル(ヴァン クリーフ&アーペル ル デスク)
1968年に誕生して以来、メゾンのアイコンとして不動の人気を誇る「アルハンブラ」コレクション。繊細なチェーンやモチーフを取り巻くビーズなど、すべてが美しく完成された美を放つ。「同じデザインでも素材によって印象がガラッと変わります。私のように辛口でモダンなスタイルが好きという女性には、オニキスがおすすめ。以前ロックなイメージの大物女優さんが『アルハンブラ』を着けていて、その意外さが格好いいなと思ったんですね。『アルハンブラ』って、どんなスタイルにも映えるジュエリーだと思います」。「ヴィンテージ アルハンブラ」ブレスレット(YG×オニキス)478,500円/ヴァン クリーフ&アーペル(ヴァン クリーフ&アーペル ル デスク)

 私が、ヴァン クリーフ&アーペルの「アルハンブラ」を初めて知ったのは20代の頃。とある一流ホテルにブティックがあり、「なんて素敵なジュエリーなんだろう」と憧れていたのを覚えています。当時の私にとって「アルハンブラ」は優雅な大人の女性が着けるジュエリーの象徴でした。

 あれから数十年が経ちますが、デザインは当時と変わることなく、今見ても新鮮。やはり完成された美しさを宿したジュエリーは、時を超えて楽しめるものだと実感しています。

 「いつかは私も」という憧れを叶え、このブレスレットを手に入れたのが十年程前。一般的にはマザーオブパールのタイプが人気のようですが、私が選んだのは、漆黒のオニキス。オニキスに惹かれた理由は、シャープなブラックの効果で肌が美しく締まって見えるから。

 そして、幸福を招くと言われるクローバーのモチーフは、私が好きなテイストからすると少し甘いのですが、オニキスなら女性らしさと強さが混ざり合った、「芯のある甘さ」が表現できるような気がしたのです。

 実際に着けてみると、モダンなテイストが好きな私の装いに程よい甘さを足してくれるキーアイテムになっているように感じます。また、見た目の美しさだけでなく、私にとっては「癒やし効果」があることに気付きました。

 仕事が忙しくて心に余裕がなくなってきた時、手首でしゃらりとチェーンが揺れ、エレガントな黒いモチーフがふっと視界に入ると「ああ、綺麗ね」と心がほぐれ、まるで大好きな香りを嗅いだ時のように柔らかな気持ちになれるのです。

 私が常々感じているのは、ジュエリーは、心に繋がっているものだということ。不安定な世の中だからこそ、どうやったら自分が機嫌よく過ごせるのかを知ることが重要だと思うんです。

 私の場合は、ジュエリーがその役割を果たしていて。だからこそ、流行や年齢に左右されないタイムレスな輝きを放つ、本当に好きなものを大事に身に着けていきたいなと思っています。

ヴァン クリーフ&アーペル ル デスク

フリーダイヤル 0120-10-1906
https://www.vancleefarpels.com/

伊藤美佐季(いとう みさき)

ジュエリーディレクター、スタイリスト。フィレンツェに遊学、帰国後スタイリストに。つける人の個性を生かしたスタイリングは、女性誌のほか多くの女優からも支持が厚い。近著に『そろそろ、ジュエリーが欲しいと思ったら』(ダイヤモンド社)
Instagram @jewelryconcierge_m

Column

伊藤美佐季のSource of yourself

ジュエリーディレクターの伊藤美佐季さんが指南する、大人のためのジュエリーの選び方と、つけ方のエッセンスを連載でお届けします。

2022.04.14(木)
Text=Miwako Yuzawa
Styling=Misaki Ito
Photograph=Masahiro Sambe

CREA 2022年春号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

この記事の掲載号

あたらしい暮らし 楽しい暮らし

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「CREA」2022年春号の特集は、「あたらしい暮らし 楽しい暮らし」。激動する時代の中“楽しい暮らしの正解”はなくて、きっとそれは百人百様。でも人生100年時代となり、キャリアがマルチステージ化していくと言われる世界を、自分らしく楽しむためには、自分の中に「種」を持っていたい。今すぐじゃなくても、ちょっと先の未来に芽が出るような、小さくても、強い種を――。