小さいお金には自分のお金を使う。何かコトを起こす時に必要な大きなお金なら、大企業とかスポンサーとか出せるところからもらえばいい。お金持ちはお金を気持ちよく使いたいんだから。

 お金をもらう前にまず、「ありがとうございます」って言っちゃう。お金をもらってからじゃなくて、もらうよりも先に「ありがとうございます」って言う。そのほうが、相手もいい気分でお金を払えるでしょ。

 先に感謝の気持ちを表す。施しを受けてから感謝するってのは、順序が逆よ。なんだか意味がわかんなくても「ありがとう」って言われたら、誰だって気分よくなるじゃない。感謝は前払いにすべし。感謝の前払いは、戻りも大きいよ。

 

「我々はスポンサー見つけてきました。なので、後はよろしく」っていうのは、頂けないよ。多少なりとも自分がお金出して、みんなで一等賞にならなきゃ。

 この前も、イベントやってくれる人たちがスポンサーを連れてきて、ウチの店で大宴会やってくれた。大宴会って言っても、たかが知れてるお金だけどさ。当然向こうは払う気持ちで来てる。でも私は、「細かいお金は使う、大きなお金はもらう」って話だからね。

「これからお世話になるんだから、今日はいりません」って私が言ったら、ウチの従業員が、「おかみさん……」ってモゴモゴするからさ、「いいんだよ。お前、細かいお金は使うっていうのが私の持論だろ。大きなお金は助けてもらうんだし、ありがとうは口先だけじゃダメだよ」って諭した。

 貸し借りの帳尻、物事の形は合わせなきゃ。人にものを頼む時は、なんでもおんぶにだっこで、手ぶらじゃまずい。

「細かいお金は使う、大きなお金はもらう」でいいのよ。

営業のためメロンと手紙を贈ることも

 営業のキモは「自分を売る」ってこと。「じゃあ、自分を売るためには、どうすればいいんですか?」って話になると……、営業の極意として、「顎を引く」ってやり方を私は先輩たちから教わった。

2022.01.02(日)
文=冨永 照子