作品を家だとするならば、『ルパン』は……

――ご自身のアクションシーンをスクリーンで見て、満足度はいかがですか?

 良かったと思います。実は、杏(和馬の娘)がさらわれるシーンで僕、動きを間違えてしまっているんですけど監督からはオッケーが出ました。

 きれいに舞うような動きの、圧倒的な強さが持ち味のLの一族とは違って、和馬の動きでは泥臭さや熱量みたいなものを大事にしていて。警察官なので自分から絶対に殴ったりはしませんし、ほぼ受けのアクションなんです。

 シーズン1からそれでやってきて、劇場版では間違えてはしまいましたが、結果的に和馬らしいアクションになったと思います。

――この映画でシリーズは完結、ということでしょうか?

 完結したと聞いています。

――現在の心境は?

 いや、特にはないですね。ただ、作品を家だとするならば、「ルパンの娘」は、またいつでもみんな帰ってこれるよ、という雰囲気なんですよ。

 もしもまた続編があって、声をかけていただけるなら、「ぜひ!」という感覚です。だからあまり寂しくないんでしょうね。

――「ルパンの娘」は、ご自身にとってどんな位置づけになる作品ですか?

 アクションもそうですし、お笑いやコメディの表現において、自分の新しい道を開いてくれた作品だと思います。真面目にバカをやるってこういうことなんだ、と初めて経験しました。和馬はその真面目さが面白さにつながる役だったので、普通に演じていただけなんですが。

 「Lの一族」のキャラクターだったら、自発的なおもしろさを求められそうなので、それはそれでまた違う苦労をしていたのかもしれないですが、和馬においては、“ロミジュリ感”を出すことが、やや難しかったです。特にシーズン1の最初の方は。

――深田恭子さんが演じる三雲華と、和馬とのロミジュリ(ロミオ&ジュリエット)感ですね。なぜ難しく感じたのでしょう?

 ロミジュリ感ってふわっとしたものですし、それぞれの人がそれぞれのロミジュリ感を持っていると思うんです。そういう意味で、当初は監督が求めているロミジュリ感がわからなくて。監督が音楽を流して「こんな音楽がかかりそうなロミジュリ感で」と説明してくれましたね。

――現場では、「Lの一族」のキャラクターを演じる小沢真珠さんやどんぐりさんの強烈なお芝居に、監督がゲラゲラ笑っていたと聞いています。「俺もやりたい!」と思ったりはしませんでしたか?

 それはないです。和馬の立ち位置は「巻き込まれ型」なので、僕が何かを考えて仕掛ける余地はなくて。相手がどうくるか、それをどう受けるかで面白くなる。だから「何か仕掛けなければ……」というような、プレッシャーを感じずにやれました。

――武内英樹監督から今後、仕掛ける側の役でキャスティングされたら……?

 あるかもしれないですねえ。怖いですね(笑)。

――ちなみに瀬戸さん的、「ルパンの娘」のお気に入りのキャラクターは?

 麿(赤兒)さん演じる三雲巌です! 忘れた頃に出てくるタイミングが素晴らしいです(笑)。

2021.10.29(金)
文=須永貴子
撮影=平松市聖