深夜ドラマ枠で史上初となる2作連続主演を務め、『夜への長い旅路』で初舞台を経験し、この1年で幅広い役を演じてきた杉野さん。

 9月24日(金)から、Amazon Prime Videoで全話一挙配信される「僕の姉ちゃん」では、まっすぐに育ってきた社会人1年目の白井順平を演じる。

 デビューから6年、さまざまな役を経験してきた杉野さんは「今、凄く幸せです」と答えてくれました。そんな彼の心のうちに迫ります。


人と信頼関係を築くには爆発的ななにかが必要

――「僕の姉ちゃん」では素朴でまっすぐに育ってきた社会人1年目の順平を演じていますが、杉野さんから見た順平はどんな印象ですか?

 昔の自分に似ていると思いました。軸が無くていろんな意見を取り入れて、目の前で起こったことに対してすぐ傷ついたり、喜んだりして……。目の前の人や事を素直に受け入れて右往左往している様子が、以前の自分を見ているようでした。

 今は、人の本質を見つめるようになって少しは理解できるようになったかなと思っています。そこの部分が、順平とは違っていて、自分の中でも成長して変わったなと感じる点ですね。

――作品の中で、姉のちはる(黒木 華)と恋、仕事、趣味、人生にまつわる会話を繰り広げていますが、そこで順平はちはるの鋭いツッコミをだいぶ受けていました。ちはるのキャラクターに関してはどう感じましたか?

 ちはるは台本を読んだ時から、魅力的な姉ちゃんだなって思ってました。人の本質を捉えてはいるんだけど、それを弟にカッコつけて話していたり、あえて外側の部分を言うことで自分を保っていたり、良い意味で人間臭い姉ちゃんだな、と。

 でも、撮影をしていてたまに、このちはるってどんな人なんだろうとか、これは真面目に言ってるのか、ふざけて言ってるのか、どこまでそうなのかってことがわかんなかった時もありました、そういう意味では順平と同じように疑問を感じたり、追及したりもしてて。やっぱり順平には似ているところが多いのかも(笑)。

――ちはるとのやり取りも魅力的ですが、会社の同僚である美穂子(久保田紗友)の言動に少し翻弄されている姿も一方で楽しく観させていただきました。杉野さんは順平のように女性の言動は素直に正面で受け止めてしまうタイプですか?

 この人は表ではこう喋っているけど、裏ではこんな風に考えているなっていうのは分かっているつもりなんですけど……。もしかしたら嘘をつかれている可能性もありますもんね(笑)。難しいですよね、そこって。最終的にその人のことを信頼しているのかどうかだと思います。

 僕自身は他人の言動に対して「あれってどういうことだったんだろう」っていろいろと考えちゃうタイプなんです。あんな気もするし、こんな気もするしって。その時点で実はその相手のこと信頼してないのかもしれない。でもやっぱり信頼関係って爆発的ななにかがないと構築されないですよね。

――イベントのような?

 そう、なにかしらのイベントがないと一生相手が言ってることって本当はどうなんだろうって思って、疑ってしまうかも。だって裏切られて傷つくの怖いじゃないですか。

 だから、プライベートで友達になりたいって思った人には、タイミングが来たら自分から意見を言います。自分が思っていることを伝えるっていうのは相手を信頼してのことだから。それで受け止めてもらえたら嬉しいですよね。そういうある意味飾らない“裸の交流”があればストレートに気持ちをやり取りできる気がします。

2021.09.24(金)
文=渡里友子
写真=鈴木七絵
スタイリング=伊藤省吾
ヘアメイク=後藤泰(OLTA)