坂元ドラマに出てくる魅力的な俳優陣の存在

岡室 「まめ夫」の松たか子さんの演技は、どこか底知れないところがありましたね。

村上 普通の人が背負わないような過去を背負わせても、嘘っぽく見えない。バツ3の女社長という設定も説明なしで受け入れられる。

岡室 松さんのように、坂元ドラマの常連組は底知れない俳優さんばかりですよね。それがすごい。

村上 満島ひかりさんは妖精というか、神々しさがありますよね。

岡室 私は「Woman」の田中裕子さん、満島ひかりさん、二階堂ふみさんの共演に圧倒されました。

村上 坂元さんはほとんどの作品で俳優を決めてから当て書きしているので、登場人物の個性が生き生きと立ってくるんですよね。一人ひとりの役の設定用に履歴書を作っているくらいですから。

岡室 本当に登場人物が実在するんじゃないかという気になります。

村上 魅力的なキャラクターばかりですが、僕が好きなのは「いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう」(以下「いつ恋」)の有村架純さん演じる音。小さな不幸を背負った暮らしの中でも、会話にユーモアが溢れていて好きです。

 一回くらい飲んでみたいのは「最高の離婚」で永山瑛太さんが演じた光生と「カルテット」で高橋一生さんが演じた家森。友達にはなりたくないけど(笑)。

岡室 同感です(笑)。会話に出てくる単語が「ジュディマリ」とか「からあげ」とか身近に感じる名詞が多いのも、登場人物を愛せる要因の一つかもしれないですね。感情移入できないキャラも多いけど、どこか愛せるから不思議です。

2021.09.23(木)
Text=Daisuke Watanuki
Photographs=Ichisei Hiramatsu

CREA 2021年秋号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

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