ラジオや音声配信サービスのレギュラーが4本! 長年リスナーとしてラジオを愛し、ラジオに愛される男、パンサー・向井 慧さんに密着。番組への想いとラジオへの熱い想い、必見です!
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この番組を褒めてもらうのがなにより嬉しいんです
さて、夜になってお邪魔したのは向井さんがレギュラー番組「#むかいの喋り方」を持つCBCラジオの東京スタジオ。ラジオを“聴く”ことで励まされてきた向井さんが、“喋る”場だ。通称「むか喋」は、今、ラジオ好きが毎週待ちわびる2時間20分だ。
「ここまでやっていいのかってくらい自分をさらけ出してます。丸出しすぎて、『面白いから聴いてね!』なんて気軽に言えないくらいです(笑)」
ナイターのない時期限定で始まった地方番組が、全国区で人気となり、毎週のようにツイッターではトレンド入り。有名職人が競い合ってネタを送る。
「どんどんメールが増えてきて嬉しい悲鳴。構成作家がいないので、僕と“目の前で話を聴いてくれる”役のぬまぶくろ君※1に任せられるコーナーを作って2人で分担。僕がネタを選ぶコーナーは全部目を通して整理してます※2」
もちろんオープニングやフリートークについては1週間に起きたことをしっかりとノートにまとめて挑み、準備に余念がない。
「去年の春、コロナ禍でテレビの仕事がなくなって、1週間の仕事がラジオだけという時期もありました。なにしろ、ずっと家にいてひとりで自粛してるからトークのネタがないんですよ。だから、自分の内面とじっくり向き合ってしまって、そもそもが考えすぎる性格なので、その辺がラジオににじみ出始めちゃったんですね」
向井さんといえば、黒いノート※3の存在が話題だが、ラジオでは当初からそんな側面もむき出しに。闇を含んだ言葉はリスナーに刺さるもので「パンサー向井のラジオが面白い」という噂が駆け巡った。
「ありがたいですよね。“これぞ、自分”だから、この番組を褒められるのがなにより嬉しいんです。僕はNSC時代から天才に囲まれてて※4、いろんなことを諦めてきた。でも、もしかしたらラジオだったら、全身全霊で努力したときに、気を抜いて喋ってる先輩にちょっとだけ勝てる瞬間が、あるかもしれない……とは心の隅で思ってます(笑)」
どこまでも控えめな言葉選びだが、本番を控えたブースは自信と緊張感に満ちていた。さあ、今夜も「むか喋」が始まる!
※1 番組開始当初に目の前で話を聴く立会人として東京で採用。有名ネタ職人でもある。欠かせないブレーン(上の写真左)。名古屋では同役を「おかどん」さんが担当。
※2 名古屋のディレクターとのやりとりはファックス。膨大な紙との闘い。
※3 日常的に、許せない人や事柄を書いているという黒い表紙のノート。
※4 同期にチョコレートプラネットやシソンヌがおり、ボケ志望だった向井さんは「これは戦えない」と努力を生かせそうなツッコミに転向。
2021.09.21(火)
Photographs=Nanae Suzuki