本来はマンガって感情を揺さぶることが大事なんですけど、私がそんなに普段大きく感情が動くほうじゃないから、ちょっと引いた目で見るようになっちゃったんです。だから自分のマンガでは、あんまり大きく感情を揺さぶるのではなくて、ちょっとわかるぐらいを目指してます。それぐらいのほうが私にはいいなと思った時に、そのお二方のマンガが浮かんできて、読み返して勉強したりしました。

 その点でいえば、今回の猫というテーマは馴染みやすかったのかもしれません。『職場の猫』を読んでくれた人の反応でも、「うちもそう、うちもそう! ところでうちの猫を見てくれ」みたいなものが多くて(笑)。

 恋愛ものとかだと、共感って、「私のこの辛さをわかってほしい」みたいなところが私はあまり乗れないんですけど、猫を挟んだうえでの共感は心地いいんです。

――今後の予定は?

たき とりあえずは『職場の猫』を不定期でTwitterにアップしていくつもりです。

 あとは今、うめ先生のところで『東京トイボクシーズ』っていうeスポーツのマンガをお手伝いしているんですが、もともと格闘ゲームを観戦するのが好きで、ちょっと詳しかったのもあって、ゲームの内容を一緒に考える担当やってよって言われたんです。それでとりあえず勉強を始めて1か月で世界大会に出たんですが、そのルポマンガを描いたりもしました。

 大会の結果は全然ダメでしたけど、自分でプレイするのも取材するのもとても楽しかったですね。そんなルポマンガもまた描いてみたいです。

“ネコの言葉”がヒシヒシ伝わってくる「セリフのない猫マンガ」が描く“職場の猫のあるあるな日常” へ続く

2021.08.18(水)
文=小田真琴
漫画=たきりょうこ