たき はい。業界もの・仕事もののマンガに興味があったので、自分が描きたいマンガの参考になるかもしれないという気持ちもあったんですけど、結局は全然違うものを描いていますね……。以前はシステムエンジニアとして働いていたんですが、それも実は会社員が登場するマンガを描きたかったからなんです。

 その頃はちょうど、マンガがやりたくて会社を辞め、雑誌に投稿をしながら方々にアシスタントへ行っていました。アシスタントをしながらWebでイラストレビューを書いたり、2017年には共著ですが『はじめてのプログラミング』(学研プラス)という本も出しました。単著はこの『職場の猫』と、同時発売の『本日のエンジニアさん』が初めてです。

 

――投稿していたのはストーリーマンガだったんですか?

たき そうですね。今とは全然違って、もっと頭身の高い絵を描いていまいた(笑)。家族ものといか、コメディというか、ちょっとジャンルわけがしづらいマンガでしたね。2010年ごろのことです。ただ連載がなかなか決まらず……。そうこうするうちにWebのイラスト仕事などが増えてきて、そちらがメインになりました。

「猫を挟んだうえでの共感」の心地よさ

――仕事ものマンガに興味があったと言うお話ですが、子どものときからマンガはお好きだったんですか? 

たき そうですね。マンガが好きで、マンガを描いていました。友達とのやりとりをそのまま描いてみんなに回し読みしてもらったり……。全然いまとやってること変わらないですね(笑)。うめ先生の周りの人が面白がって読んでくれて、そこからその外側のたくさんの人たちも読んでくれるようになっただけで、本質は変わんないかもしれません。

――どんなマンガがお好きだったんですか?

たき 特に好きだったのは深見じゅん先生『悪女(わる)』(講談社)っていう作品です。今の簡略化した絵のスタイルは玖保キリコさんの『いまどきのこども』(小学館)がルーツだと思います。どちらもどこか淡々としてるんですよね。

2021.08.18(水)
文=小田真琴
漫画=たきりょうこ