五感で受け止めるレクサスの世界観
──LEXUS DESIGN AMAZING 2013 MILAN──

自然界の「流れ」から生まれた変貌自在な道をベニスから取り寄せた自然木を組み上げて表現。この道の一部は人が歩けるようになっており、時折、風が吹いたり、柔らかに吹きつけるミストに水を感じたり……

 人と自然環境と人工的に生まれたモノたちが、優れたデザインによって共存していく。そんな豊かな未来の在り方を追求して誕生した “-amazing flow-”は、類い稀なセンスを持つ二人の日本人によって創造されました。空間構成を手がけたのは、若手建築家の中でその活躍がもっとも期待されている一人である平田晃久氏。

「モノを中心とする視点から離れ、「流れ」という視点でデザインをとらえると、「車」、「人」、「風」、「水」、「生物」などの異なったものが、ひとつにつながっていることがわかります。地表に沿って流れているのは車や人だけではなく、風や水、さまざまな生物が流動し、長い年月をかけて地面の形そのものを変えていきます。そういった意味において、人間のつくる都市も大きな流れの一部であり、アングルを変えてみれば、人間の体もさまざまな小さな流れによって構成されている集合体だと気づきます。-amazing flow-は、そういった気づきを、さまざまな感覚を総動員して実体験できるものとして考えました」(平田氏)。

 そしてもう一人の日本人、監修として関わった世界的建築家の伊東豊雄氏は作品を通してこのようなコメントを残しています。

「今回のエキシビション“-amazing flow-”というテーマにとても共感を覚えました。なぜなら、すべてのものは絶えず変化していくものだからです。レクサスのクルマは「流れ」をデザインしている。カタチをつくるというよりも様々な「流れ」が集まって自然にカタチになった。軽さとか、爽やかな風が吹き抜けていくとか、そうした空気の流れをこの作品から感じとれると思います。そのことがレクサスの世界を理解することになるのではないかという、まさしくamazingな試みでした」(伊東氏)。

監修:伊東豊雄/建築家 (写真左)
1941年生まれ。今年、“建築のノーベル賞”とも称される「プリツカー建築賞」を受賞した世界的建築家。主な作品に、せんだいメディアテーク、TOD'S表参道ビルなどがあり、現在、台中メトロポリタンオペラハウス(台湾)、バルセロナ見本市グランヴィア会場拡張計画(スペイン)、みんなの森ぎふメディアコスモス(岐阜)などのプロジェクトが進行中。

空間構成:平田晃久/建築家 (写真右)
1971年生まれ。現代日本の建築を牽引するひとりとして国内外で活躍。2012年秋にはロンドンにて個展「Tangling」を開催。釜石市災害復興公営住宅・こども園プロポーザルにて最優秀賞など、国内外で受賞多数。建築を生命の営みに寄り添い、周辺環境に連鎖し、秩序を織りなす“からまりしろ”ととらえ、人間の身体感覚に生き生きと働きかける建築を目指す。

関連サイト
URL www.lexus-int.com/jp/design-events

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2013.05.27(月)
text:Yuki Imatomi