私たちは小学校1年生からの付き合いなので、地元は共通の友達ばかりです。盆暮れ正月、せっかく田舎に帰ったのに飲み会で顔を合わすと、正直、うんざりします。でも、「大久保さんがいるなら行かない」「光浦さんがいるなら行かない」こういうことをすると、刺激の少ない田舎暮らしに降って湧いたゴシップ、楽しいイベントの一つにされかねないので言いません。「なんだよ、いるのかよ」私と大久保さんが誰にも気づかれずに一瞬、光の速さで目と目で会話します。こういう時、コンビだなと思います。
私たちは結局、仕事のパートナーにはなれませんでした。元々、仲良しで始めたこと。お笑い好きな大久保さんと会う口実が欲しくて、媚びるようにお笑いサークルに入らない?と誘ったのが大元のきっかけです。私が先に売れ、大久保さんが後に売れ、足並みが揃ったことがなくて、揃えようとするとなんだか互いが疎ましくなって、どちらからともなく気づいたんです。一緒に売れる必要はない、と。友達のまんまでいいんじゃない?と。たまーに、コンビでゲストに出ると楽しかったりします。
人と比べていいことなど一つもありません。あれだけ世間に比べられて落ち込んだのに、でも私はいつも大久保さんと自分を比べてしまいます。ここは勝ってる。ここは負けてる。こんなに真面目に生きてきた私が負けるはずがない。でも悔しいかな認めたくないけど、大久保さんは私より、人から好かれます。それは子供の頃からです。
「私にはとっつきにくい空気があるようです」
私にはとっつきにくい空気があるようです。仲良くなった人にいつも言われます。私がもっとも嫌いなことは冤罪です。自分が間違ったことを言って非難されることは全然平気です。でも間違って伝わることは、ほんの些細なことでも許せません。身長を2センチ間違ってプロフィールに載せられたことを知り、気になって、夜中に急に目が覚めて眠れなくなってしまったこともあります。自分でもおかしいと思っています。ある人は私に言いました。「なんか否定されそうなんだよね」。それは、否定じゃないんだよ。私がしてるのは訂正なんだよ。「ほら、否定された」……頭にくる奴だなぁ。
2021.05.31(月)
文=光浦靖子