おじいちゃん、おばあちゃんの時代から今に続く歴史あるお菓子。現代生まれなのになぜか懐かしいパッケージのスイーツ。各都道府県のアイコンとなるような愛されお菓子が一堂に!
#16 富山県
◆菓子司 林昌堂「くろみつ玉天」
明治期の味を再現した魅惑のふわふわ和菓子
民謡“おわら節”で有名な富山県八尾町で明治中期に誕生した「玉天」は、淡雪羹という和菓子をもとに、林盛堂2代目・林駒次郎が考案し県内に広まった富山銘菓。
県内にある菓子店それぞれで製造方法や材料が異なるなか、林盛堂5代目として修業した菓子司林昌堂の店主が昔の「玉天」の味を知る八尾町出身の手漉き和紙工芸家・吉田桂介の協力のもと、17年の年月をかけて駒次郎の生んだ味を再現させたのがこの「くろみつ玉天」だ。
富山県産の卵で作ったメレンゲに天然素材の棒寒天と糸寒天、砂糖類などを混ぜて乾燥・熟成させた後、濃厚な卵黄にくぐらせて仕上げにごま油で焼いている。
そうすることで、表面はお揚げのようにこんがりと香ばしく、中はふわふわとやわらかで、舌でつぶすとしゅわっと溶けるような不思議な口当たりに。
また、黒糖をブレンドすることで、明治期当時の独特な風味を出している。
2021.04.24(土)
文=Five Star Corporation
写真=釜谷洋史