展示作品は約200点 すべてが好奇心を呼び覚ます

 展示作品のひとつひとつが示唆に富むことも魅力だ。

 宇壽山貴久子の『からす』は代々木公園の生息するからすを撮影したもの。

 代々木公園は豊かな自然を抱く公園で、多様な野鳥が生息している。都心部で多く見かけるからすも当然数多く生息している。

 しかし、公園内に設けられた観察できる野鳥を紹介する看板には、からすの名前は記載されて無い。からすは、存在しないものとされているのだ。

 力強く、野生を表現しながらも優雅な表情を見せるからすの写真、そしてその背景を見つめると、何かを問われているかのような感覚になる。

 ここで紹介した作品たちのみならず、100名の写真家による展示作品のすべてが、私たち自身を、そして東京、ひいては世界の未来を考えるきっかけになるものばかりだ。

 1枚の写真という時間も空間も飛び越えた“広大な世界”に没入することで、あなたの好奇心は揺さぶられ、そしてまた誰かの好奇心を刺激することだろう。

 展覧会の会期は2020年11月12日(木)まで。2020年という節目の年にふさわしいこの写真展。お見逃しなく。

東京好奇心 2020 渋谷

会場 Bunkamuraザ・ミュージアム
所在地 東京都渋谷区道玄坂2-24-1 B1F
開催期間 2020年10月20日(火)~2020年11月12日(木)
※状況により、会期・開館時間等が変更となる可能性があります。
開館時間 平日10:00~18:00(入館は17:30まで)
入館料 一般1,000円、大学・高校生500円
※中学生以下は入館料無料
https://www.bunkamura.co.jp/museum/

2020.10.30(金)
撮影=深野未季
文=CREA編集部