島民以外は参加禁止 脈々と受け継がれる秘祭
“ふどぅま”海岸の近くには、巨大なガジュマルの並木道がありました。無数の気根を垂らし、どすんと鎮座するガジュマルの巨木。
これまで単体ならば町の名物となっている老木を見たことがありましたが、それが連なっているのを見たのは、はじめて。大迫力です。
集落の東、鬱蒼と木々が茂る森に「アールウガン」という御嶽(うたき。聖域のこと)がありました。ここは、立ち入りはもちろん、撮影も禁止です。
かつて新城島の周辺海域には、ジュゴンが生息していました。
当時ジュゴンは“ザヌ”と呼ばれ、琉球王府の命により、新城島の人々のみ捕獲が許され、その干し肉を人頭税として献納させていたそうです。
そして新城島の人々はジュゴンの頭蓋骨を丁寧に御嶽のアールウガンに納め、供養と航海安全を祈ったそうです。
また、新城島にはパナリ焼きという土器が1857年頃まで作られていたとか。赤土にカタツムリの殻や豚の血をなどを混ぜ込み、タブの木やスナズルの粘液を塗って仕上げ、茅やススキで覆って一昼夜、露天で焼いたもの。※材料や作り方は諸説あり
ごつごつとした手触りの土器は、その起源など多くが謎に包まれています。
上地島の西海岸の中央に、集落はあります。
10人以下という島民の数よりも多くの家が、琉球石灰岩を積んだ石垣に仕切られ、きちんと保たれています。これは空き家ではなく、豊年祭のために、島を出た島民が戻ってくるために残されているのだとか。
祭事の日は、島民以外は来島ができず、写真撮影もNG、内容を語ることも禁じられています。
「祭りのために島に戻り、家を守る。無人島になってしまったら、祭りが途絶えてしまう。それをふたたび復活させるのには、100倍の力が必要です」と、島を案内してくれた島仲信良さんの言葉が心に残りました。
新型コロナウイルス感染防止のため、来島は自治体のホームページを参照のこと。受け入れ側にお問い合わせのうえ、ご判断ください。
新城島
●アクセス 定期船はないので、石垣島や西表島発着の1日ツアーの利用を。パナリ島観光ではスノーケリング&島内観光ツアーを開催。島の祭りに関する問い合わせは受け付けていません
http://panari88.com/
Column
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2020.08.22(土)
文・撮影=古関千恵子