Netflix大躍進の裏で……

 新型コロナウイルスは、全世界に変革をもたらした。日本でも「3密を避ける」「リモートワーク」「ソーシャルディスタンス」等々、次々に“新しい生活様式”が誕生。

 日常のすべてが根こそぎ改変されてしまったような状況だが、各々の「映画を観る」スタイルにも新たな潮流が生まれているのではないだろうか。

 緊急事態宣言による「ステイホーム」期間中、テレビドラマや番組の撮影がストップしたこともあり、NetflixやAmazon Prime Videoといった動画配信サービスの利用者が急増。

 そんななか、1つのトピックといえるのは、「梨泰院クラス」や「愛の不時着」などの韓国製のドラマが社会現象化したこと。

 なかでも爆発的な人気を誇る「梨泰院クラス」は、父の復讐を誓った青年が、巨大企業に単身挑んでいく姿を描いたサスペンス。

 日本では「半沢直樹」に例えられることも多く、年齢層や性別を問わずに広く観られている印象だ。

 また、家で過ごす時間が増えたことで、“あつ森”ことゲーム「あつまれ どうぶつの森」やアイドル発掘プロジェクト「Nizi Project」も一躍ブームに。

 もちろんすべてのブームがコロナ禍の影響とはいえないだろうが、ユーザーの増加が起こったことは確かだろう。

デジタル配信の手始めは佐藤浩市ら主演『Fukushima 50』

 これまでは劇場公開が一般的だった新作映画の“届け方”に関しても、かつてない動きが見られるように。

 口火を切ったのは、『Fukushima 50』のデジタル配信解禁だろう。通常、劇場公開のタイミングでデジタル配信は行わない。

 しかし、コロナ禍で映画館が休業せねばならなくなり、このような“異例”の動きが生まれたというわけだ。

 ちなみにこちらは「期間限定」の緊急措置であり、現在は劇場公開が復活。2020年7月に舞台挨拶を行った出演者の渡辺謙は、「エンターテインメントの人間としては『普通の生活様式』を取り戻したい」と、劇場で再び心置きなく映画が観られることを切望したそう。

 そのほか、ウィル・スミスとトム・ホランドが声優を務めたアニメ映画『スパイ in デンジャー』は劇場公開を取りやめ、6月に日本ローンチした動画配信サービス「ディズニープラス」の独占配信に切り替えた。

 アニメ映画『泣きたい私は猫をかぶる』も同様の流れをとり、Netflix独占配信にチェンジ。

2020.07.27(月)
文=SYO