岩瀬有数の旧家を訪ねて
日本建築の贅を体感
●北前船廻船問屋森家
富山市内から路面電車に乗って30分ほど。昔ながらの街並みが残る岩瀬地区は、個性的な店が続々オープンするなど、今俄然注目を集めているエリアです。
江戸時代から明治時代にかけて、日本海を航海しながら商いをする北前船が活躍した頃には、街道沿いに数多くの廻船問屋が立ち並び、たいへんな賑わいを見せていたこの界隈。
今も明治時代の建築が多く残り、街道を歩けばタイムトリップしたかのような不思議な感覚を味わえます。
この地区でまず訪れたいのが、岩瀬のシンボル的存在である北前船廻船問屋森家。
明治11年に、京都から腕利きの宮大工を呼び寄せ3年かけて建てられた家屋は、廻船問屋として使われていた当時の雰囲気をそのまま感じることができます。
川の流れを模した畳の配置や美しい囲炉裏、屋久杉の板戸や能登黒松の梁など、決して派手ではないけれども贅を尽くした細部を、心ゆくまで眺めることが可能。
昔、多くの人々がここで暮らし、賑々しく商いをしていた様子を想像してみるのも、楽しいひとときです。
北前船廻船問屋森家
所在地 富山市東岩瀬町108
電話番号 076-437-8960
https://www.city.toyama.toyama.jp/other/shisetsuannai/morike.html
2020.05.25(月)
取材・文=嵯峨崎文香
撮影=志水隆