「紅しょうが天そば」は1度で2度おいしい

 今回は「紅しょうが天そば」(440円)を注文した。紅しょうが天は立体的なフォルムで、塩味はほとんどなく、ほんのりとしょうがの香りが感じられる。うまいつゆである。唐辛子、ごま、味噌をあえて作った「特製辛味噌」を途中で載せて食べるとまた面白い。

 常連さんたちは、それぞれ好きな天ぷらがあるそうで、あまり売れ筋の天ぷらというのはないという。少なくてもなるべく種類を作るようにして、配慮しているそうだ。

 店主に挨拶し、「福そば」を後にした。人形町の人たちに愛されている味と人気を実感することができた。そして味ももちろんそうだが、店主のそばに向かう姿とその笑顔が印象的だった。

 立ち食いそばを愛していた作家の坪内祐三さんにも「福そば」を味わってもらいたかった。これからは「菜の花天」などの春の天ぷらや冷たいそばも楽しめる。また来ようと思う。

福そば

住所 東京都中央区日本橋人形町1-16-3
営業時間 月~金曜 6:00~20:00、土・祝日 6:00~16:00
定休日 日曜

※こちらの記事は、2020年2月18日(火)に公開されたものです。

記事提供:文春オンライン

2020.02.26(水)
文・撮影=坂崎仁紀