家族3人の小さな会社が
台湾を代表するブランドに

 ハイセンスな版画のパッケージが印象的なスキンケアブランド「茶籽堂」。台湾のセレクトショップやデザインホテルなどで、見かけたことがある方も多いかもしれません。今回は2018年9月にオープンしたばかりの「誠品生活南西店」にあるブースにお邪魔しました。

 元々は「誠品生活松菸店」にある200以上の台湾ブランドを集めた「EXPO」コーナーで扱われていました。ここから独立し、ブースを構えられたのは「茶籽堂」が初めてとのこと。現在は松菸店と南西店の両方にブースがあります。

 創業14年を迎える「茶籽堂」。今や飛ぶ鳥を落とす勢いの人気ブランドですが、当初は家族3人だけで経営する小さな会社でした。

 代表の趙文豪さんによれば、手荒れがひどかった母親は食器を洗う際、昔ながらの茶の実の粉洗剤を使用していたとのこと。

 父親はプリンターの洗浄剤を製造する技術者で、これを使い勝手の良いものに改良できないかと考えたのだと言います。そして、誕生したのが液状タイプの洗剤でした。その後、スキンケア商品や食用オイルなどを次々と開発していきました。

 趙さんによれば、創業時、原料となる茶の実は中国産も使用していたとのこと。しかし、茶の実は鮮度が重要なので、100%台湾産に切り替えることを決心。

 ところが、台湾ではすでに「苦茶樹」の栽培が縮小傾向にありました。そこで自分たちで栽培することを決意。

 今では6カ所に農場を所有し、自然農法で栽培しています。単にモノを売るだけでなく、茶の実の文化を守っていきたいという使命感が感じられます。

  「自分たちの商品を通して、台湾の豊かな自然、そしてデザイン力の高さを世界の人たちに知ってほしい」と熱く語る趙さん。一歩一歩、着実に成長してきた「茶籽堂」が世界ブランドになるのも夢ではないでしょう。

 ちなみに、筆者もシャンプーやトリートメントなどを愛用していますが、その質の高さに一度使うとやめられなくなります。

2018.11.12(月)
文・撮影=片倉真理