ついに大好きな美容業界での勉強、仕事をスタート

左:自分が開発にかかわった商品は、戦友のような存在。ユーザーに直接ビューティアドバイスをすることもあるという
右:取材、アイディアなど、用途によって使い分けているノート。修業時代のノートは捨てられない

 ところが、仕事でどうしても休まざるをえない日がある。メイクの技術も、毎日練習を積んでいる専業学生との実力差はどんどん開いていく。「片手間では一生身に付かない」と考え、退職したいと上司に告げたところ、猛反対。ようやく退職にこぎつけた頃、前職の同期の紹介で出会ったのが、福美人の代表でもあるビューティープロデューサー・牧野和世さんだった。

「思いを切々と語ったら、『まずは勉強するつもりで来てみたら』と。30代に入って、やっとつかんだチャンスです。この縁にしがみつくしかないと、必死で修業しました。例えば牧野は、1つの商品について5ページ書けと言います。最初はとても書けませんが、どう感じているか、どこが他の商品と違うか、自分へ問いかけて言葉にする、それを繰り返しているうちに書けるようになりました」

 努力と実力が評価され、アシスタントから取締役へ。

「前職の待遇がよかった分、給料などの条件面は下がりました。でも、大好きな業界で自分の名前で仕事をする、という長年の夢を実現できて、大満足です」

 前の職と今の職での「勤務時間」「睡眠時間」「年収」「悩みの数」「休暇」について比較、5段階で評価してもらった。ブルーの5角形が前の職をピンクの5角形は今の職を表している。

向井真由美さんの場合

 忙しい時は勤務時間が長くなるが、趣味が高じた仕事なので、苦にならない。年収は、額面での比較ではなく、満足度。定額の給与体系よりも、成果を上げた分だけ収入となる現職のほうが納得がいく分、満足度も高い。

2012.06.07(木)
text:Yuki Imatomi / Mami Watanabe / Atsuko Komine / Ai Sakamoto / Etsuko Onodera
photographs:Tamhito Yoshida / Keiji Ishikawa / Mami Yamada / Hirofumi Kamaya

CREA 2012年7月号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

この記事の掲載号

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