エレガントな「フィーメル」って?
エレガントな女(フィーメル)、キャロル 愛……心に語りかけるアルバム。
10代の頃から作詞家・作曲家として活躍していたキャロル・ベイヤー・セイガーの3枚目のソロアルバム。のちに夫となるバート・バカラック(現在は離婚)との共作を中心とする極めて質の高い曲を、名うてのミュージシャンたちの演奏で楽しむことができる、紛れもないAORの名作だ。
しかし、帯のキャッチコピーはシンプルながらも、「女(フィーメル)」には突っ込まざるを得ない。
「女」と書いて「フィーメル」とは、表外読みにも程がある。わざわざルビを振る意味は感じられず、百歩譲ってもそこは「レディ」の方が自然だろう。
だが、読み手に強烈な印象を残し、ふとアルバムを聴きたくさせるのがキャッチコピーの作者の策略なのだとしたら、このコラムを書いていること自体が完全に思うツボだ。
それはともかく、皆さんも明日から女性のことを「フィーメル」と呼んでみてはいかがだろうか。聞き返されること確実だ。
2018.03.22(木)
文=福田直木(ブルー・ペパーズ)
撮影=平松市聖