上品で色っぽい
「艶文字ひらがな」を身に付けて
ただ美しいだけじゃない、上品で色っぽい文字を練習する『艶文字ひらがな練習帳』(西村真翔著・文藝春秋刊)が発売された。「艶文字ひらがな」を考案したのは、名古屋在住の書家、西村真翔先生。
「艶文字ひらがなは毛筆の優雅さを取り入れたペン字の書体で、やわらかくて女らしいことから『美人書体』とおっしゃる方もいます(笑)」(西村先生)
一見、難しそうに見えるが、ひらがなを図形ととらえて角度や配分を考えて書く新メソッドだから、ペン字を20年やってもうまくならないという人でもすぐに上達するという。また、ひらがなは48文字しかないが、日本語の文章の7割以上を占めるので、艶文字ひらがなをマスターすると労少なくして文章全体を美しく見せる効果が高いのだ。
艶文字を使って簡単に自分を印象づけるワザとして、先生がオススメするのが「魅せる一筆箋」テク。
「ビジネスウーマンの皆さんは、物や書類などを送る時に、一筆箋を同封することはよくありますよね。そこに長々と業務連絡を書かれる方も多いですが、私はむしろ業務連絡はワープロ書きで別の書面にして、一筆箋には、「よろしくお願い致します」とか「またお会いできたら嬉しいです」など、ほんのひとことだけを、美しい文字で書いて入れるほうが簡単だし、相手へのインパクトも大きいと思います」
確かに、長い文章を美しい文字で書くには、相当な力量がいりそうだが、ひとことメッセージを一筆箋に書くだけなら、数回の練習でできそうな気がしてくる。送られた相手も、たったひとことが艶っぽい文字で書かれた一筆箋がはらりと出てきたら、相当ドキドキしてくれそう!
きれいに見せるコツは
罫線の上に文字を書くこと
「魅せる」度をよりアップするためには、どんな一筆箋を選べばいいのだろうか?
「罫線が別についていて、全体に地模様があったり、色の濃淡があるような和紙タイプのものが、上品でオススメです」
また、西村先生は、字に自信のない人は、罫線と罫線の間に文字を書くよりも、罫線の上に文字を書いたほうが、美しく書けるという。
「文字がまっすぐに並んでいることは、美しさの秘訣ですが、罫線と罫線の間に書くとどうしても、初心者は歪みやすいのです。ですから、罫線を正中線(字の真ん中に通っている線)ととらえて、その上に歪まないように書くほうが、きれいに見えます。もし、罫線が別についているタイプのものがない場合でも、罫線が細くて薄く印刷されている一筆箋を選べばそれほど気になりません」
ちょっとの工夫で「なんだか美しい人……」という印象を、相手の中にくっきりと残すことができる“魅せる一筆箋テク”。早速チャレンジしてみては!?
魅せる一筆箋のコツ
西村真翔(にしむら・しんしょう)
1957年生まれ。名古屋市在住。幼少より書道を始める。40代から写経作家として、現在では希少な金字経(金泥を鹿膠で練り写経後、磨ぎをかけて光り輝く経典に仕上げる1300年前から伝わる技法。国宝や重要文化財に多い)に取り組む一方で、書道や写経の指導にも携わる。「20年ペン字をやっても上達しない」という生徒さんに、どのように教えるべきかを研究する中で、文字を図形としてとらえ、比率や角度などを考えて書くことで、誰でも短期間で字が上達する「艶文字メソッド」を考案。本書が初の著書となる。
美文字より上品で色っぽい!
艶文字ひらがな練習帳
優等生的な「美文字」ではなく、毛筆の格調高さを持つ色っぽい「艶文字ひらがな」がマスターできる、書き込み式の練習帳。これまで、なぞり書き方式の練習帳に挫折した人でも、著者オリジナルの「艶文字メソッド」なら大丈夫。3時間の練習でも見違えるほどの効果がでます!
著・西村真翔
本体800円+税
文藝春秋
2017.11.24(金)
動画撮影=松本輝一