栁川みなみ(やながわ みなみ)さん
家族:夫、長女(3歳)
会社名:株式会社ママスクエア
肩書き:マーケティングコミュニケーション室
子どものそばで働ける
職場を増やしたい
今の会社が大学卒業後3つめという栁川さん。2つ目の会社のときに妊娠・出産。夫婦共にフルタイムで働いていたにもかかわらず、認可保育園は落ちた。
たまたま空きが出た認可外保育園に入所。次の年に認可保育園に転園することができたものの、認可外に入れるまでに感じた焦燥感や孤独感は、忘れられない。復職後も栁川さんの中にはモヤモヤしたものが残った。
「私は運よく子どもを保育園に入れることができました。でもこんな運任せでいいんでしょうか? 会社は従業員任せだし、自分の努力や実力が足りなかったから認可保育園に落ちたとかいうわけでもないですよね」
復職を果たしたものの、保活の厳しさを思い知らされた栁川さんは、保活をしているすべての女性の状況に思いを馳せる。フルタイムの自分でも厳しかった。ましてや小さな子どもがいて、ブランクがあってまた働こうと思っている女性や、これから働こうと思っている女性にとって、保活は厳しすぎる。なんとかそういう女性に寄り添えるような仕事はないのだろうかと考えて転職を決めた。
現在働いている会社「ママスクエア」は、“子どものそばで働けるワーキングスタイル”を提唱し、自治体や企業と連携してママが働きやすい職場を実現している3年目のベンチャー企業だ。栁川さんは中途採用第一号となった。
たとえば待機児童を解消したい自治体、フルタイムではなくてもいいが人手の欲しい企業、ベテランの女性社員に妊娠・出産後も引き続き働いて欲しいと思っている企業。さまざまな課題を抱えた自治体や企業に、職場の横にキッズスペースを設けたり、シフト制で働いたりできるような解決法を提示していく。そしてママは、保活の苦労なく働くことができるようになる。それが「ママスクエア」の事業内容だ。
栁川さんが職場のチームメンバーの協力も得ながらやっている実務は、幅が広い。
自治体や企業に自社の理念を説明するところから始まり、課題を聞き取り、解決できるような店舗を設計していく。物件の開発のためのデベロッパーとのやりとりもある。店舗を作るときの工事図面のディレクションも欠かせない。出店に向けての窓口も担当する。
クライアントが抱えている問題はそれぞれ多様なので、解決のためにはそのつど計画も変わってくる。それを整えつつ最終的には開業まで持っていく。
問題解決の糸口が見えたときに、クライアントがパッと見せてくれる笑顔に、栁川さんはやりがいを感じるという。
現在「ママスクエア」は17店舗にまで増えた。事業所内保育も含めれば、500人以上のママの雇用に貢献している。責任は大きいが、これだけのママたちが活躍する場を作ることができたということに、栁川さんは手応えを感じている。
「『子どものそばで働ける世の中が当たり前』というのが我社のミッションですから、より多くの自治体さんや企業さんと組ませていただいて、スピード感を持って、お母さんたちが活躍できる場所をさまざまな形で実現していきたいですね」
3歳児の子育てをしつつ、ママの環境を整えるために働く栁川さん。彼女のプライベートに、見習うべきヒントを探してみよう。
2017.09.21(木)
文・撮影=HITOMINA