日本の朝ごはんの頂点に立ったのは?

 いよいよベスト3。第3位にランクインしたのは、岡山県代表「湯原温泉 我無らん」です。

「湯原温泉 我無らん」の“岡山のブランド牛「千屋牛」の熟成カツサンド”と“湯原温泉名産 青大豆豆乳ポタージュ”。プレゼンターは調理主任の伊藤浩二さん。

 “岡山のブランド牛「千屋牛」の熟成カツサンド”は、目にした瞬間、すぐSNSで披露したくなるほどフォトジェニックでした。レアに近い状態で揚げられた上質なフィレ肉を挟み込むのは、驚くほど薄ーくスライスされたパン。朝からカツサンドなんてちょっとヘビーじゃないの? という予想を心地よく裏切ってくれる一皿です。

 “湯原温泉名産 青大豆豆乳ポタージュ”は、そのパステル調の優しい色彩にまず感嘆。体の内側から浄めてくれそうなヘルシーな味わいは、カツサンドとの相性も完璧です。

 隠れ家感たっぷり、温泉も素晴らしく、さらに食事も充実したこんなお宿におこもりしたなら、カップルの距離がぐっと縮まるはず。

湯原温泉 我無らん
所在地 岡山県真庭市湯原温泉114
http://travel.rakuten.co.jp/HOTEL/56699/56699.html

 準優勝は、鹿児島県代表「城山観光ホテル」。

「城山観光ホテル」の“朝〆たばかり 鮮度抜群の鹿児島県産真鯛潮茶漬”と“ニガウリと豚耳のソテツ味噌炒め”。プレゼンターは総調理長の前田瑞穂さん。

 “朝〆たばかり 鮮度抜群の鹿児島県産真鯛潮茶漬”は、ごはんに載せた新鮮な鯛の刺身のみならず、そこにかけるスープも、鯛のカマや中落ちからていねいにとった出汁を使っているとのこと。海の幸がじんわりと体に染み込みます。

 “ニガウリと豚耳のソテツ味噌炒め”は、鹿児島名産のニガウリと豚耳に、奄美大島名物のソテツ味噌を合わせた一品。それぞれ単品なら癖があるだろう食材が、すんなりと調和している点に恐れ入りました。これ、小さな子どもも好きになりそう。

 2018年の大河ドラマ「西郷どん」の舞台としてこれから脚光を浴びそうな鹿児島。こちらのホテルに泊まり、美食と歴史を掘り下げる旅を楽しんでみたいものです。

城山観光ホテル
所在地 鹿児島県鹿児島市新照院町41-1
http://travel.rakuten.co.jp/HOTEL/5305/5305.html

 47都道府県から選ばれたライバルを下し、見事優勝に輝いたのは、山形県代表「温海温泉 萬国屋」!

「温海温泉 萬国屋」の“山形県の旨味がたっぷり染み出た具だくさんの芋煮汁”と“磯の香 吟醸茶漬け ~山形の恵みを添えて~”。プレゼンターは、課長の大滝幸也さん。

 “山形県の旨味がたっぷり染み出た具だくさんの芋煮汁”は、東北地方の秋の風物詩である芋煮会をモチーフとしながらも、プロの目が素材を厳選、さらに洗練された技術を生かして仕上げられています。一口ごとに全身に滋味が染み渡る感動は、ぜひ地元山形で体験してみたいもの。

 “磯の香 吟醸茶漬け ~山形の恵みを添えて~”は、出汁に使った吟醸酒の複雑精妙なエッセンスが薫り立つ優れもの。トッピングや付け合わせの彩りも心憎く、この宿が日本一に選ばれたと聞けば、誰もがなるほどと膝を打ってしまうことでしょう。

 こちらの宿は、優勝と合わせ、今回から新たに設けられた「地産地消de朝ごはん賞」も獲得。圧巻のダブル受賞となりました。おめでとうございます!

 目をつぶれば、美しい山形の風景が浮かんできそうな料理は、まさに日本の朝ごはん。素朴でありながら洗練を極めた、頂点にふさわしい2品でした。

神田川俊郎さん(左)から優勝の楯を授与され、感無量の表情を浮かべる「温海温泉 萬国屋」の大滝幸也課長。

温海温泉 萬国屋
所在地 山形県鶴岡市湯温海丁1
http://travel.rakuten.co.jp/HOTEL/12577/12577.html

 審査員控室では、「機会があれば、この6軒を順番に泊まり歩いてみたいね」という言葉も飛び出しました。これが実現したらほんとに夢のようです。

ファイナルステージの名にふさわしい熱き戦いが終わった……。お疲れ様でした! そして、ごちそうさまでした!

 朝ごはんというひとつの統一テーマを掲げれば、日本全国の豊穣この上ない食文化を体感することができる。その事実に感激しました。今後も注目必至のイベントです!

朝ごはんフェスティバル2016
http://travel.rakuten.co.jp/special/asafesta/

2016.12.13(火)
文=井上孝之
撮影=佐藤 亘