村上海賊のストーリーは「日本遺産」
山を抱いた島々が折り重なるように続く風景を、“山なみ”ならぬ“島なみ”と呼ぶそうだ。
瀬戸内の島なみは潮の流れを複雑にし、船の引き波が海面に長くのびる穏やかな時もあれば、激しく引き込む渦潮が生まれる時もある。さらに、見る角度や高さによっても印象が変わり、それはまるで万華鏡のようで、眺めるたびにハッと心が掴まれる。
古代から、この海に君臨していたのは、村上海賊。海賊というと、金品を奪うタチの悪い輩と思いがちだが、村上海賊はまったく異なる。
一筋縄ではいかない複雑な海流を熟知している彼らは、船舶の航行の安全を確保し、交易の秩序を守ることが使命。戦国時代には歴史の表舞台にも登場し、その豪快な活躍ぶりは和田竜の小説『村上海賊の娘』でも知られるところだ。そして、この村上海賊のストーリーは文化庁の日本遺産にも認定されている。
そんな瀬戸内の海を満喫するおすすめの方法、まずは空から!
2016年8月、広島県尾道市にあるオノミチフローティングポートで、日本で半世紀ぶりに水陸両用機による遊覧飛行がスタートした。1回50分間のフライトが1日3~4便。瀬戸内のように島々が多いエリアでは、フレキシブルに離着水できる水陸両用機がぴったりなのだ。
近未来的デザインのオノミチフローティングポートでチェックインし、マリーナを見渡すラウンジで搭乗待ち。その後、保安検査室へ移動。荷物チェックや搭乗に関する注意点のショートムービーを観たのち、海に浮かぶクエスト・エアクラフト社のコディアック機に乗り込む。4点シートベルトとヘッドホンを装着。ヘッドホンを通してのキャプテンの挨拶の後、いよいよ機体が動き出す。
2016.12.02(金)
文・撮影=古関千恵子