1990年代後半から急速に死亡事故の件数が減少
先日、エミレーツ航空がドバイで着陸に失敗しました。こうした事故が起こるたびに、大きく報道され、「飛行機はコワイ、危険だ」というイメージが植えつけられがちです。
しかし、映像としてはインパクトがあったエミレーツ航空の事故も、乗客の犠牲者はありませんでした。そこで、実際に飛行機事故に遭遇して命を落とす可能性はどのくらいなのか、検証してみたいと思います。
オランダの航空機事故についての調査機関「Aviation Safety Network」によれば、2015年に起きた航空機事故は560件。しかし、死亡事故となったのは16件にすぎません。
これは485万7000回に1件の確率です。1日1回飛行機に乗ったと仮定して、1万306年に1回起きるくらいの可能性です。
死亡事故といっても、つねにすべての乗客が犠牲になるわけではないので、実際の確率はもっと低くなります。さらにこうした死亡事故のなかには、整備も含めて、安全性への対策がおろそかになっている第三世界のエアラインが占める割合は少なくないので、こうしたエアラインを利用しない場合も、確率は低くなります。
報道をみていると、航空事故は頻繁に起きているイメージがありますが、実際のところ、事故の発生頻度の推移はどうなっているのでしょうか。
次のグラフは戦後の民間航空機の死亡事故の発生件数をグラフにしたものです。
これをみると、全体的に減少傾向にあること、しかも1990年代後半から急速に死亡事故の件数が減少していることがわかります。
しかし、これはあくまで発生件数です。件数よりも、実際にどのくらいの人が亡くなったのかが重要なのでは? と考える人もいると思います。
2016.08.15(月)
文=橋賀秀紀