イギリス人リスナーの反応やいかに?

山口 スティービー・リッチーは、独自進化したJポップ的アプローチ、しかも最新ではなく、90年代ぐらいのJポップ感で作品創りをして、それをイギリスにも輸出するということですよね?

伊藤 そうです。立ち上がる日本人です(笑)。3月の頭からYoutubeでプロモーション動画(外部サイト)が次々とアップされているけど、まだまだ全貌がみえないというか、どうなるのかよく分からない。どんな仕掛けでくるのか? しかもUKでもこの曲はリリースされそうなので、イギリス人に秋元康プロデュースがどう映るのかも楽しみなところ。もちろん楽曲に対するイギリス人の反応も興味深い。そして目指すところは「マカレナ」「マイアヒ」「スキャットマン」というところでしょうね。

山口 本当に楽しみです。セール数などの定量的なデータ以上に、日英のユーザーがどう受け止めるかという定性的な情報に興味があります。さて、伊藤さんも深く関わった、この作品から、どんな妄想分析が浮かびますか? 相手は秋元康さんですよ(笑)。

伊藤 親に愛された記憶がない。父親とは交わした言葉があっただろうか、母親はなんで常に怒っていたんだろうか。特別、虐待を受けたとか育児放棄されたとか、そういうことではないけれど、愛されなかったと子供ながらに心に刻まれたネグレクトはあったかもしれない。

 学校でもイジメられたというよりはイジメるほうだった。それは度を越えることはなく、友達関係を継続できる範疇。だけど、ある日を境に友達という価値観が崩壊し、自分がコミュ障だと思うようになって友達を必要としなくなった。10代後半から20代前半は引きこもりがちになり、無駄に時間をすごした。

 24の時にある外国人に出逢った。彼は……彼というか彼女というか、そんなことはどっちでもいい、そいつは外国人といっても隣国から来ていて見た目も僕と変わりない同人種。だけど、そいつといると僕は泣いたり笑ったり怒ったり、とにかく素直で純粋になれた。シガラミとか、トラウマとか、セオッタモノとか、そんなのもどうでもよくなり……なんというか、子供になった。子供になり、もうマイライフ アゲインって感じだ。

 両親は早く逝ったし、昔の友達はいないし、そいつもどこかに消えてしまった。だけど、今は友達がいる、かなり沢山いる。悪く言えば浅く広い友達だけど、それでいい。彼らは僕のことを“おバカ”とか“天然”とか“世間知らず”とか“センシティブ”というが、僕は自分のことを“sweet child o' mine”と呼んでいる。

Stevi Ritchie「Come on! Come on! Come on!」
ソニー・ミュージックレコーズ 2016年3月30日発売
926円(税抜)
■Stevi Ritchieは1980年生まれ、イギリスの片田舎エセックス在住。2014年に「Xファクター」に出場。歌もダンスも下手、見た目もパッとしない彼を目にした誰もが落選を確信したものの、その一生懸命なパフォーマンスが会場を虜にし、ファイナリストにまで上り詰める。現在では立派にセレブリティの仲間入りを果たした。
■「Come on! Come on! Come on!」作詞/秋元康 作曲/PENGUINS PROJECT、中西哲郎 英詞/本山清治
■オフィシャルサイトURL http://www.stevi-jp.com/

2016.03.15(火)
文=山口哲一、伊藤涼