「大広間」と「松濤園」が物語る美の系譜

 御花に現存する近代和風建築は、すべて1910年(明治43年)、14代立花寛治によって整えられたものです。細部まで丁寧に作られた意匠は、大名家から伯爵となった立花家400年の歴史の重みが感じられます。※松濤園・大広間・西洋館・立花家史料館はビジターも見学可能。10時~16時、入園料1,200円(宿泊客は無料)。

 その中心にあるのが、松濤園に面した約100畳の「大広間」。当時の最新技術「トラス構造」で屋根を支えることで、和建築には珍しい、明るく軽やかで開放感のある空間となっています。東床(ひがしどこ)には床・棚・付書院(つけしょいん)をしつらえ、杉四方柾の床柱や黒漆塗の床框など、旧大名家にふさわしい武家風の格式を備えています。

 さらに、畳を取り除くと演能可能な敷舞台が現れるのも大きな特徴。毎年秋には、恒例の能公演「大広間 御前能」が執り行われます。※今年は9月13・14日に開催。

 大広間から見えるのは、14代自らが設計した松濤園。その名の通り、約280本の黒松に囲まれた鑑賞式庭園で、池には2つの中島と、いくつもの岩島を配して大海を表現しています。

 水は御花の周囲を取り囲む掘割から引き込んでおり、水生生物を目当てにアオサギやカワセミが遊びに来ることも。冬にはたくさんの鴨が渡ってきて、親子の可愛らしい姿が見られるそうです。

 庭を眺めていると、外の掘割を行き交う舟の船頭さんの歌声が聞こえてきて、なんとも長閑。屋敷の中にいながら、まちの気配まで感じられる距離感がなんとも心地よく、時のたつのを忘れます。

 ちなみに夜は、19時から23時まで大広間を開放。フリーラウンジから好きなドリンクを持ち込み、夜の松濤園を眺められるのは宿泊者の特権です。かつての藩主や伯爵たちも、同じようにこの庭を眺めていたのでしょうか。そんな想像をしながら、文化財ステイを満喫できます。

立花家の迎賓館として建てられた白亜の西洋館

 大広間と並ぶもうひとつの見どころが、白亜の建物「西洋館」。明治期には要人を招いた園遊会が催されていたという迎賓館で、電気がまだ通っていなかった時代に自家発電所を設け、輸入品のシャンデリアを灯していたそう。

 当時のランプシェードや調度がそのまま残る空間からは、明治という時代の異国情緒が色濃く伝わってきます。

 毎日16時ごろから開催されている館内文化財ツアーでは、御花のスタッフとともに敷地内の文化財を巡り、立花家がつないできた文化や歴史、思いに触れることができます。

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