最近よく耳にすることが多い「地頭」。

 西岡壱誠氏が上梓した『地頭力の正体』では、地頭力とは「基本となる知識を柔軟な発想で使いこなす力」だと論じられている。

 では、実際に「地頭を良くする」には、何をすればよいのだろうか。『地頭力の正体』から一部抜粋してお届けする。

» 【前篇を読む】「あの人、勉強はできるけど地頭は悪いよね」地頭の“良い・悪い”はどうして生まれるのか?東大の入試試験から見る《地頭力の正体》とは


「柔軟な発想」の育て方

 地頭力とは「基本となる知識を柔軟な発想で使いこなす力」です。

 ここで重要なのは、「知識」だけでなく「柔軟な発想」も必要だということです。知識を動的にするということは、知識同士をつなげ、応用し、新しい視点で捉え直すということです。そのためには、単に勉強するだけでは不十分なのです。

 なぜなら、「柔軟な発想」は、勉強だけでは育たないからです。

 自分と違う意見を持つ人と話すことで見えてくる世界があり、異文化の中でこそ見えるものもあります。実際に体験することで、知識が「自分ごと」になり、立体的に理解できるようになります。

 このことから、やはり非認知能力の養成と、見えにくい力の醸成には関連性があるように感じるのです。

体験格差という問題

 ここで、「体験格差」という言葉について考えてみましょう。

 体験格差とは、経済的な格差だけでなく、体験によって格差が生じるという意味です。

 たとえば、こんな言説があります。

「東北に旅行に行ったことがない子どもは、東北地方の勉強をしても理解しにくい。一方で、実際に行ったことがあると学ぶ意欲や実感が湧く」

 これは、学力そのものの差というよりも、知識と現実が結びつく〝回路〞の有無を指摘したものだと考えられます。

 教科書に出てくる東北地方の地形、気候、産業、祭りといった情報は、文字や写真としては理解できても、実感を伴いにくい場合があります。

 しかし、実際に東北を訪れ、寒さを体感したり、広い田園風景を見たり、現地の人と話した経験があると、「なぜ米作りが盛んなのか」「なぜ冬の生活に工夫が必要なのか」といった知識が、単なる暗記事項ではなく「自分の体験に基づく理解」に変わります。

 その結果、学習内容が立体的に捉えられ、記憶にも残りやすくなるのです。これは、まさに知識が静的から動的へ変わる瞬間です。

 「東北地方は米作りが盛んである」という静的知識が、「あの広い田園風景を見たとき、確かに米作りに適していると感じた」という体験と結びつくことで、動的知識になるのです。

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