ひとりのジャスミン好きから始まった香水が、「本物のジャスミンの香りがする!」と、噂が噂を呼んで大人気になっている――。

 そんなニュースを目にした方もいるかもしれません。その名も“Crazy Jasmine”。生み出したのは、誰もが知っている大手飲料メーカー、伊藤園のひとりの社員でした。

 化粧品会社やフレグランスの会社ではなく、まったく別ジャンルの会社からなぜ香水が発売されたのか。なぜその香りが大バズリしているのか。何よりも、その香水はいったいどんなジャスミンの香りなのかが知りたくて、ブランドを立ち上げ、代表取締役社長に就任された向田陽子さんにお話を伺いに。

 ジャスミンへの愛から現在一番人気の製品まで、語り尽くしていただきました。2回にわたってお届けします。

» 後篇を読む:【大バズり香水】売れに売れている! ジャスミンラバーたちがもれなく沼る「Crazy Jasmine」香水4種類&アロマを徹底紹介


伊藤園の社内ベンチャーから生まれた香りのブランド

――向田さんは元々はデザイナーだったと伺いました。Crazy Jasmineを立ち上げる前の経歴を教えてください。

 私は2006年に中途入社しまして、お茶製品のデザインを担当することになったんです。伊藤園にはたくさんの種類のお茶製品がありますが、中でも「Relax JASMINE」のパッケージデザインを17年間担当していました。パッケージにジャスミンの花を入れるので、ジャスミンに特に興味を持ったのはそれがきっかけでした。

――なるほど。デザインをする上で大変だったことや、ジャスミンにまつわるお話などはありましたか?

 そもそもジャスミンって、世界規模で見ると、200種類とも300種類あるとも言われているんです。初めはそういうことも知らなかったので、「Relax JASMINE」に使われているのがどの種類なのかもわからなくて、パッケージに入れるジャスミンを決めるだけでも苦労していました。

――200から300種類とは確かに驚きですね。一般的には「ジャスミン」というひとつの種類かのようにイメージしてしまっている人も多いと思います。

 そうなんです。またジャスミンの花は、日本だと6月から夏の間の、暑い期間しか咲かないのです。ところがパッケージのための撮影などをするのがたいてい2月頃の寒い時期で、実際の生花はない状態。そこで、フェイクフラワーを作る方にお願いしたり、イラストレーターの方に描いていただいたりと、様々な方法でジャスミンの花を再現していました。

――そうやってジャスミンを深く知っていくうちにハマっていかれたということですが、香水を発売されたということは、元々香水や化粧品などもお好きだったのでしょうか?

 嫌いではないのですが、そこまで化粧品オタクだったり香水をよくつける方ではありませんでした。本当にただただジャスミンの香りだけが好きで、他社さんのものでジャスミンの香水をいくつかは持っていましたが、香水が好きというよりも、ジャスミンの香りだけが好きなんです。

 あのちょっとエキゾチックで甘い感じや、華やかさ、ただ爽やかというとは少し違う濃厚さなどが大好きです。よく言っているのですが、常に鼻の穴に入れていたいくらい(笑)。

――だからジャスミンのことをもっと知ろうと、ご自宅でも育てるというところに行きつくんですね。

 はい。パッケージデザインのためと、元々香りが好きだということもあり、どんな花か知りたくて育て始めたのがきっかけです。ジャスミンって、日本の花屋さんで気軽に切り花などで購入できるものはないので、ポットの苗木を少しずつ集めていきました。Crazy Jasmineが立ち上がった頃は10種類でしたが、今は14種類育てています。

 もちろん全部カワイイけれど、ジャスミン茶に香りづけをするためのジャスミンサンバックへの思いはひと塩。ジャスミンサンバックだけでも、一重咲き、八重咲き、薔薇咲きなどの種類があるんです。薔薇咲きのサンバックは、つぼみも葉っぱも丸くて本当に可愛く、大好きです。

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