テレビをやったからこそわかった“面白さ”
――久本さんの人生の転換期には、必ず舞台があるんですね。
久本 そうかもしれない。やっぱり若い時ってテレビに出たら嬉しいし楽しい。でも舞台って稽古してなんぼじゃないですか。一方でテレビは瞬発力、使うエネルギーが違うんですよね。その面白さもあるし、色々な人とも出会えるし、一時期そういった魅力にも取り憑かれちゃったんですよね。
でも稽古して稽古して、これが正解か不正解かっていうのを生のお客さんの前でバーっと見せて「良かった」「いや違う」「もっとできるだろう」っていう、その持続力と緊張感。それも面白いっていうことがわかった。これはテレビをやったからこそわかったんだと思うんですよね。これどっちかだけだったらわからなかったと思うんです。
――なぜ久本さんがテレビの一線で活躍しながら舞台に出続けていたのか、その謎が少しとけた気がします……。
久本 よく言われましたよ。先輩に「お前まだ舞台やってんの?」「えらいなぁ」って。今だいぶ仕事も落ち着いてきて、こうやって他劇団の方々からもオファーいただけるようになって、本当にありがたいことだなと思います。だって、歳を取れば取るほどやっぱ舞台面白いなってつくづく思うんですよ。
――歳を取れば取るほど舞台は面白い。
久本 「年齢を経れば経るほど」と言ったほうがいいかもしれませんね。舞台の魅力って深くて、「ああでもないこうでもない」と作り上げていく時のエネルギーが、地獄のような苦しみなんですよ(笑)。「産みの苦しみ」だから。「ああなんて体に悪いことやってるんだ」ってよく思いますもん。寝ていても「あそこもうちょっと面白くできないかな」とかハッて起きちゃうし、「あれは絶対面白い、やっぱりやってみよう」と1人でニヤけたり。
――ずっと頭の片隅にあるんですね。
久本 テレビの仕事でもありますよ。「あの時のあの司会、もっとこうできたよな」とかね。やっぱりずっと考えてる。でもその考えることが、しんどいけど面白い。
特に舞台だと、自分が思ったことをやって、お客さんが生の声で笑ってくださったら、ガッツポーズですよ。日によって反応は違うんですけど、その生の醍醐味は舞台ならではですよね。正解不正解が生でわかる。
それに、年齢を重ねると体の動きも変わってきます。「これは怪我するな」「1カ月の間これはできないな」と思ったら、「じゃあこういうやり方で動いてみよう」とか「こういうやり方で場面を書いてみよう」とか今までとは違うアイデアが出てくるし。やればやるほど面白いんですよね。
――今の自分ができることに向き合っていくと。
久本 そう、今の自分と真正面から向き合うんですね。今の自分でできることを考えていく。若い時は無茶をしても翌日ちょっと痛い程度だったのが、今バーンと飛んだら2週間入院ですから(笑)。健康あっての舞台ですので。でもそれを含めて、今の自分と付き合っていくのが面白い。やっぱり舞台が好きですからね。
