同期と食事に行っただけなのに
――外からみたらキラキラした世界でしたが、普通のOLと同じ仕事をされていたんですね。江里子さんが活躍されていた90年代は、「女子アナブーム」と騒がれて、女性アナウンサーがなにかというとスキャンダラスに書かれる時代でしたよね。
まだ、1年も経ってない頃、一緒に行くはずの女子たちが残業になってしまって、同期の男子4人くらいと私で食事に出かけたら、翌週に「新人アナウンサー中村江里子、男を引き連れて六本木」と出たときには、「同期と一緒に歩いてただけなのに」と泣きましたよ。
――女性アナウンサーを取り上げると売れる、というスイッチがメディアに入って、常に誰かしらターゲットになっていた時代でしたね。
ぴったりしたシャツを着ていると胸を強調しているとか、スカートが短いと足を出しているとか、書かれ放題でしたが、当時は、対抗手段がありませんでした。
――会社員なのに、私生活が注目されてしまう。その時は、アナウンサーをやめようという思いがよぎりませんでしたか。
家を出る時に誰かが待ち伏せしていないか左右の安全確認をしたり(笑)。1日のスタートがそんな感じでしたが、SNSもない時代ですし、会社員である私が何かを発信することはできませんでした。もちろん、ストレスではありましたが辞めたいと思ったことはなかったです。
――毎日いろいろな番組に出演してされていて、さぞ、お忙しかったのではないでしょうか。
早くから現場に出してくれて、刺激のある忙しい毎日を過ごせたことには感謝しています。でも、結局、体調も崩してしまいましたし、なにより、変に器用にこなしてしまうことに違和感を持ち始めたんです。
最初は仕事に一つずつ真摯に向き合っていたつもりだったのに、慣れてくると、放送の最中に次の収録のことを考えている自分がいて、頭の中がごちゃごちゃになってしまい、「一回リセットしないといけない」と思ったんです。
文=Miki D'Angelo Yamashita 写真=鈴木七絵(人物)
