主演ドラマ『対決』で、社会の理不尽と向き合う女性を演じた松本若菜さん。

 インタビュー後篇では、俳優として歩んできた道のりや、仕事への向き合い方、そして「強い女性」について語っていただきました。

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性差別への違和感と、役を通して見えた“社会の構造”

――松本さんは、「“女性は結婚や出産があるから戦力にならない”。昔よく耳にしたこの言葉に、女性である私自身も違和感を覚えました」とコメントされていました。これまでに女性であることによる違和感や差別を覚えた経験はありますか。

 私が演じた檜葉菊乃(ひば・きくの)は、正義感が強く、性差別に対しても非常に強い感情をもつ女性なので、撮影前はかなり菊乃の考え方に引っ張られていたように思います。

 性別によって差を感じる瞬間は、女性に限らず、男性にもきっとあるはず。たとえ相手がそういうつもりで言ったのではなく、むしろ優しさで言ってくれた言葉だったとしても、「自分が女性だから、あるいは男性だからできないと思われているのではないか」と感じてしまうことはあるのではないでしょうか。

――菊乃は女性であることに怒りや葛藤を抱えている印象を受けました。

 怒りというよりは、理不尽だと感じる状況に自分が置かれていること、そして自分の娘がこれから受けるかもしれない差別や理不尽さに対して、不安や恐怖を抱えているのだと思います。

 一方で、そういう社会にしてしまったのはジェンダー差別を受け入れてきた自分たち世代にも責任があると感じていて、そこに対する後悔や悔しさも抱えている。属性や性別ではなく、能力や努力の成果で正しく評価される世の中にしたいという想いの強さが、もしかしたら“怒り”のように見えるのかもしれません。

――松本さんご自身は、34歳まで飲食店でアルバイトをしながら俳優を続けていたそうですが、性別や年齢による差別を感じたことはありましたか?

 明らかな“差別”を感じたことはなかったと思います。「30歳までにこうなりたい」「40歳までにこうしたい」という目標を立てるタイプでもなかったので、気がついたら30歳を過ぎていました。それに、「俳優」としては、早く年齢を重ねたいと考えていたんです。

――それはなぜですか?

 年齢を重ねた人の背中には、説得力があるからです。22歳でデビューした時に、ベテランの俳優さんの演技を間近で拝見して「自分にはこの後ろ姿はできない」と感服したことがありました。ですから自分も早く年を重ね、「後ろ姿で人生を語れる年齢になりたい」と憧れていたのです。

 ただ、デビュー後は努力が成果に結びつかない時期が長かったので、「もう頑張れないかも」と思う日々もありました。

 映画『愚行録』(17年)で第39回ヨコハマ映画祭助演女優賞をいただき、「自分の居場所はここなのかな」と、やっと自分に自信がもてるようになりました。

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