猫の心と体の発達を支える「栄養」の重要性
――社会化をサポートするために、食事面で気をつけておくべきことはありますか?
井上先生 社会化をスムーズに進めるためには、猫の脳や神経、そして体の健康を支える栄養状態が不可欠です。特に成長期の子猫は、大人の猫よりもたくさんのエネルギーを必要としますが、消化能力はまだ未熟です。そのため、成長ステージに合わせた最適なバランスのフードを選んであげてください。
ロイヤルカナンの製品では、子猫の健康な脳の発達に寄与するDHA(オメガ3系不飽和脂肪酸)や、未熟な免疫系の健康維持をサポートする抗酸化成分などをしっかりと配合しています。
また、子猫はお腹を壊しやすいので、消化率の高いタンパク質や、腸内環境の健康を維持するオリゴ糖などの食物繊維が含まれているかも、大切なポイントです。
――食事の与え方で気を付ける点は?
井上先生 食の多様性に慣らしておくことも、非常に重要です。多くの猫は子猫期に母猫から食べていいものかどうか学ぶため、子猫期に食べたことがないものを、大人になってから食べ物と認識しにくい性質があります。
将来、病気になって特定の療法食しか食べられなくなった時、あるいは災害時に特定のフードしか手に入らなくなった時、食の幅が狭いと猫自身が苦労することになります。子猫のうちから、ドライフードだけでなく、ウェットフードの食感、香り、味などに慣らしてあげると安心です。
――愛猫がフードを「食べ飽きてしまう」という悩みもよく聞きます。
井上先生 猫はとてもグルメな生き物なので、特定の食感や香りにこだわりを持つ子も多いです。ロイヤルカナンには、香りにこだわる子向け、食感にこだわる子向けなど、猫の好みに寄り添ったラインナップがあります。
食べ飽きたように見えても、別のタイプを好む期間を経て、また以前のフードを好むようになることもあります。猫の個性に寄り添いながら、おいしく食べてもらえるものを見つけてあげるといいと思います。いろいろなものをおいしく食べることも、立派な社会化の一つです。
――最後に、愛猫の社会化に取り組む飼い主さんへメッセージをお願いします。
井上先生 みなさんおわかりの通りですが、猫は人間に忖度しません。良いものには近づきたいし、嫌なものからは逃げたいというシンプルな行動を見せてくれます。だからこそ、飼い主さんは愛猫が何に喜び、何を嫌がっているのかという「ボディーランゲージ」をよく観察してあげてください。
また、すべての猫がすべからくこういう性質というわけでなく、猫は個体ごとの個性が強く、一般論が当てはまらないことがよくあります。自分の愛猫に当てはまらないことが合ったら、そのような情報や助言などにはこだわりすぎずにその子のタイプを見極めて、個性にあったケアやお世話をしてあげてほしいと思っています。
社会化は一朝一夕にはいきません。大切なのは、焦らず、イライラせず、猫の歩幅に合わせてあげること。今日、キャリーのそばで一粒のおやつを食べられた。それだけで十分な進歩です。その根気強いコミュニケーションの積み重ねが、やがて揺るぎない信頼関係へと変わり、愛猫の一生の幸せを守ることにつながるはずです。
●お話を伺ったのは……
井上舞(いのうえ・まい)先生
ロイヤルカナン ジャポン合同会社 ヘルスアフェアーズ マネージャー。獣医師、ねこ医学会理事。
