ジル監督には感謝の言葉しかありません

――続いて、同い年で長年の親友であるチャンさんから、この映画は「どんな新たなイーキン・チェンを見ることができる映画」になったと思いますか?

チャン・クォンウィン イーキンとは30年以上にわたり、さまざまな仕事を共にしてきました。ある意味で、一緒に成長してきた関係だと言っても過言ではありません。そんな旧友の目で見ても、本作でのイーキンはこれまでのイメージとは大きく異なっていました。俳優として確実に進化し、新たなステージに到達していると感じたのです。たとえば、音楽創作について静かに語る場面。あるいは、路上で松ぼっくりを蹴るだけの何気ないシーン。ほんの些細な瞬間であっても、そこに宿る説得力が、これまでとは明らかに違う。まるで自分の心情を代弁しているかのようにも映り、思わず彼の芝居に見入ってしまいました。

――イーキンさんは、そんなお二人の絶賛の言葉を受けて、いかがですか?

イーキン・チェン スタッフの皆さんがさまざまな試行錯誤を重ね、全力で支えてくださった。その姿を見て、私も全力で応えるしかない、という気持ちでした。なかでも、ジル監督には心から感謝しています。役者という職業は、ある意味とても受け身の仕事です。「こんな役を演じたい」と願っていても、その機会に巡り合えるとは限らない。今回、ジル監督のおかげでセンワーという役に出会うことができました。しかも、親友と同じ“作曲家”という立場を演じることができた。それは、自分のキャリアに新たな1ページを刻むような経験でした。感謝の言葉しかありません。
 

次のページ キャリアにおいて、突破口のひとつになった役