【1】肌色を整えるということ
僕自身の肌に対する価値観が大きく変わるきっかけとなった、忘れられない出来事があります。20年ほど前の、ある撮影でのことでした。当時の僕は、ルネサンス絵画に見られる陶器のような美しい肌を、いかにつくり上げるかということに、情熱を注いでいました。その日の撮影でも、若いモデルさんの肌を、自分としては完璧につくり上げたつもりでした。しかし、いくら写真を撮っても、なぜかその子が老けて見えるのです。「どうすれば……」。もうなすすべがない、と追い詰められたとき、仲間がこう言いました。
「UDAさん、ファンデーション取ってみれば?」
正直「ありえない」と思いました。こんなにきれいにベースをつくっているのに、それを落とすなんて。でもほかに打つ手がない。一か八かの思いで、ファンデーションを落とし始めました。すると、その下からみずみずしくフレッシュな肌が現れたのです。取れば取るほど、彼女はどんどん若返り、フレッシュになっていく。自分の中の常識が、音を立てて崩れていくのを感じました。そこから僕は、素肌が持っている生命感が透けて見えながら、より肌理の整った滑らかな肌をいかにつくるか、ということに心を傾けるようになりました。
僕は「ありのままの肌でいましょう」と言いたいわけではありません。ただ、僕が感じるのは、隠す必要がないのに思い込みで自分の肌のよさを殺してしまっている人がいるのではないか、ということです。ファンデーションを塗ることが当たり前だと思い、カバーする必要がない部分までカバーして、顔をフラットにしている。そして、立体感がないと悩んでいる。でも、それはファンデーションを塗りすぎているからではないですか? と僕は言いたいのです。そして、肌のコンプレックスをすべて覆い隠すのではなく、生かしたうえで魅力的に見えたとき、初めて心からの自信を手に入れられるのではないか、とも思うのです。
4 75%が水分のジェルに、ファンデを抱えたバブルが浮かぶフォーミュラ。「hadairo」に近い肌をつくることができる。レ ベージュ オー ドゥ タン 全3色 30mL 10,230円(ブラシ付き)/シャネル
化粧水をたっぷり肌になじませた後、無色の下地もしくはバームで肌にハリを与える。その後1・2・3もしくは4を刷毛に取り、手の甲になじませた後、顔にのせ、薄く塗り広げるのを何度か繰り返す。
CREA 2026年春号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。
