イングランド中部地方のストーク・オン・トレントは、ウェッジウッドをはじめ、ロイヤル・ドルトン、ミルトン、スポードなど、英国を代表する陶磁器メーカーの生まれ故郷。現在も300以上の陶磁器メーカーが拠点を置く、この英国陶磁器の里の見どころをめぐります。

偉人たちの手で培われてきた珠玉のガーデン

上空から見たガーデン。美しくシンメトリーにレイアウトされています。

 ストーク・オン・トレントでの陶磁器めぐりの合間に、ぜひ訪れたいのが、駅から5キロ弱の場所にあるトレンサム・エステートです。

 英国では、「エステート」は貴族所有の広大な土地を表すことが多いのですが、ここも例外ではありません。11世紀、世界初の土地台帳では王族の所有とされていたこの土地は、その後長年にわたりサザーランド公一族の持ち物でした。その間、18世紀には歴史的造園師ランスロット・ブラウンがガーデンをデザイン、そして19世紀には、ビッグベンでおなじみの国会議事堂を設計したチャールズ・バリーが、屋敷の改築・改装に加えてガーデンにも手を加え、「優雅な大邸宅」と称されていたとのこと。

屋敷の残骸がそのまま残され、ガーデンの一部をなしています。

 ところが、産業革命が訪れ、ストーク・オン・トレントの陶磁器産業が盛んになると同時に、公害がひどくなり、サザーランド公はこの敷地を手放してしまいます。1911年には、屋敷は取り壊され、その後に建てられたボールルームは、戦後ビートルズやピンク・フロイドをはじめとするミュージシャンのコンサート会場として一時期は賑わいを見せたものの、近隣の炭鉱事業が陰りを見せると同時に廃退し、こちらも取り壊されてしまいました。

 すっかり寂れてしまったところを開発業者が買い取り、1億ポンドを投じる一大プロジェクトの結果、2003年、オリジナルに則した美しいガーデンとショッピング・ヴィレッジへと生まれ変わりました。現在でも屋敷の名残を、ガーデンのなかに見ることができます。

左:季節ごとに異なる色を見せてくれるガーデンは、どの季節に行っても新鮮です。
右:ガーデンのいたるところに、タンポポの妖精「ウィッシュ」の像が隠されています。

 四季によって、違った彩りを見せるこのガーデンには、アート作品の展示があったり、湖があったり、カフェがあったり、飽くことなく散策できる場所です。

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2015.12.14(月)
文・撮影=安田和代(KRess Europe)
協力=英国政府観光庁