白砂の海底に手が届きそうな驚きの透明度

殿羽根丸(どんばねまる)の船長の高野さん。8隻の船が2~5分おきに運航し、食事やトイレなどのため、気軽にヒリゾ浜と中木間の往復ができます。

 中木の集落から殿羽根丸で出航し、連続する切り立った断崖を見上げながら、進むこと5分弱。ヒリゾ浜の近くで、「ほら、イワシの群れが!」と水中を指さす船長の高野さん。船上から見下ろすと、白砂の海底が、手が届きそうなほどすぐそばに見えます。それでも水深5メートルはあると聞き、透明度の高さにまたびっくり。

水面下には温かい海域のトロピカルな魚たちも。地形変化もバラエティ豊かで、魚種が豊富。(C) 殿羽根丸

 ヒリゾ浜は、100メートルほどのゴロタ浜の背後は断崖が迫り、緑のところどころにユリ科のユウスゲの鮮やかな山吹色の花がアクセントのように咲いています。頭上にはトンビが円を描きながら飛び、セミの声で耳がいっぱいに。

 水面下はドロップオフもあれば、白い砂地や岩礁もあり、多彩な環境から、生息する魚種が多彩。加えて黒潮が南方の魚たちをここへと運び、サンゴの群落も広がる、まさに豊饒の海なのです。

火山活動によって北上、そして本州とぶつかり、合体したという伊豆半島。ジオパークに登録されているユニークな地形も魅力。

 切り立った断崖に囲まれ、火山活動で生じる柱状節理も見られる、この界隈。ユニークな地形から、国内で25番目のジオパークにも登録されているそう。これはフィリピン海プレートにのった伊豆半島が、度重なる火山活動によって北上し、本州と衝突したことから生まれた地形だからだとか。

 美しい海のみならず、その地勢も興味深い伊豆半島。奥が深い!

ヒリゾ浜
●アクセス 下田駅から車で約35~45分で中木へ。中木からの船渡しは7月第1土曜~9月末の最終日曜に運航(予約不要)、所要時間約5分弱。
●ヒリゾ船渡し受付
電話番号 0558-65-1050(運航期間のみ)
URL http://www.nakagi.jp/hirizo/
●おすすめステイ先 民宿 殿羽根
電話番号 0558-65-0797
URL http://www.nakagi.jp/yado/donbane.htm

古関千恵子 (こせき ちえこ)
リゾートやダイビング、エコなど海にまつわる出来事にフォーカスしたビーチライター。“仕事でビーチへ、締め切り明けもビーチへ”をループすること1/5世紀あまり。世界各国のビーチを紹介する「世界のビーチガイド」で、日々ニュースを発信中。
「世界のビーチガイド」 http://www.world-beach-guide.com/

Column

古関千恵子のニッポン極楽ビーチ十景

 CREA WEBの好評連載コラム「世界極楽ビーチ百景」で海外の至福ビーチ事情をレポートし続けているビーチライター・古関千恵子さんが、特別篇として国内の厳選ビーチをおすすめします。三浦、伊豆、房総といった首都圏からのアクセスに優れた場所から、沖縄の離島や小笠原といったスペシャルな南国まで、日本が誇る10の絶品ビーチをご紹介!

2015.08.29(土)
文・撮影=古関千恵子