Magnificent View #563
ヴィッラ・ピサーニ(イタリア)

(C) Robert Harding Images / Masterfile / amanaimages

 ヴェネツィア郊を流れるブレンタ川の沿岸は「リヴィエラ・デル・ブレンタ」と呼ばれ、18世紀に造られた瀟洒な邸宅が立ち並んでいる。なかでも有名なのが、ストラという街にあるヴィッラ・ピサーニだ。

 1721年に、アルヴィーセ・ピサーニ総督が建てたこの建物は、部屋数が114室あり、主屋のほか、馬小屋や広大な庭園も完備されていた。

 この建物を有名にしているのは、凝りに凝った庭園。約7メートルの白い塔を中心に、同心円状に生垣で道が造られたユニークな構造だ。建設当時は、木々を迷路状に植えて、その中を歩くことを楽しむ迷路式の庭園が流行していた時代。貴族はこぞって、こうした庭園を敷地の中に造っていた。

 1797年にヴェネツィア共和国が崩壊した後、ナポレオンも一時期、この家に暮らしていたという。また、1934年には、ここでヒットラーとムッソリーニが初会見も行っている。

 ヴェネツィアの歴史を見守ってきた建物は現在、国有博物館に。18世紀から19世紀にかけての芸術品が展示され、もちろん、迷路のような庭園も見学することができる。

Column

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2015.04.16(木)
文=芹澤和美