扉を閉めた瞬間、走行音や車内の喧騒が一気に遠ざかる。手元のタブレットでリクライニングシートを倒し、照明を落とせば、自分だけの上質な空間が広がる――。
10月1日、日々約50万人もの旅客を運ぶ日本の大動脈・東海道新幹線に、グリーン車を超える上級クラス「Supreme Class」が誕生した。
23年ぶりの「個室」復活
かつて存在した個室が東海道新幹線から姿を消したのは、「100系」が引退した2003年のこと。以来、JR東海はビジネスユースの乗客をメインターゲットとして、輸送力の増強やEXサービスの利便性向上に注力してきた。その間、生活様式や働き方も変化していく中で、利用客のニーズも次第に多様化。グリーン車よりも上質な設備・サービスを求める声や、プライベート感を重視する声も増え、23年ぶりの個室の復活を後押しした。
ただ、これは単なる「復活」ではない。2003年には存在しなかったテクノロジーが、個室空間を根底から刷新している。
扉を閉めれば上質なプライベート空間が
10月1日よりサービスが開始された個室「Cabin(キャビン)」には、広さの異なる2種類のタイプが存在する。7号車は家族や友人と利用できるソファ付きの2名利用可能な個室、10号車は1名利用として設計された個室だ。
扉の解錠は、乗車時に使用する交通系ICカードまたはQRコードで行う。ICカードをかざした瞬間、扉が静かに開く。オートロック機能も備わっており、一度扉を閉めればプライベート空間が成立する。
個室に足を踏み入れた瞬間、ベージュを基調としたリクライニングチェアや木目調で統一された室内が、旅人を上質な空間へと誘う。座席横に設置されたタブレットは、照明の明るさと色、空調の風量、放送の音量、そしてシートのリクライニング・レッグレスト・ランバーサポート・シートヒーターに至るまで、空間を構成するあらゆる要素を操作できる。
照明には「ノーマル」「ビジネス」「おやすみ」「リラックス」と4つのシーンモードが用意されている。仕事に集中したければ、ビジネスモードで白色の明るい照明を、旅の疲れを癒したいなら、リラックスモードで照明を控えめに。タップひとつで部屋の雰囲気ごと切り替わり、自分の状態に合わせて空間を整えることができる。
タブレットからはモバイルオーダーも可能で、コーヒー、ソフトドリンクやアルコール、軽食やおつまみなど、旅のお供をタブレットをスクロールしながらゆっくり選ぶことができる。Supreme Class限定の商品や沿線ゆかりの品々も揃い、移動中のひとときを豊かに彩ってくれそうだ。
