森田望智が「役を作らない」と決めた理由

 森田はこれまで徹底した役作りが高く評価されてきた俳優だが、今回はそれを意図的に手放している。

「こういうやり方は初めてかもしれません。普段は役を作るほうが得意なタイプだと自分では思っているんですけど、美咲ちゃんに関しては、そうしてしまうと美咲ちゃんの可能性が縮まってしまうかなと思っていて。美咲ちゃんのベースがありながら、自分自身の素のものを出せるような、そういうお芝居ができたらいいなと考えています」(森田氏)

 作り込まない代わりに、守るものは決めている。

「警察官としての最低限のマナーや行動、癖みたいなものは守っていかなきゃいけないんですけど、それ以上に、ちょっと自由に羽を広げてみようかなという気持ちで取り組んでいます」(森田氏)

 その判断は、脚本の手触りから来ている。

「バカリズムさんの脚本はセリフが本当に言いやすくて、普段私たちが口語として喋っている言葉がずらっと並んでいるので、今そこで会話が起きているような舞台だなというところに、まずワクワクしていて。美咲ちゃんというキャラクターについても、皆さんキャラクターに色があるようでなくて、ある。すごく不思議な線が引かれているような感じがしていて、それは役としても見えるし、役者さんが演じる素の部分も乗せてさらに色づく。そういう脚本の良さを感じています」(森田氏)

 書き手からかけられた第一声も忘れがたいという。

「顔合わせのときの第一声が『セリフ大丈夫ですかね?』という、すごく心配された一言で。何を心配しているんだろうと思ったんですけど、言い方も自分の好きなように変えてくださいね、いいものにしてくださいねとおっしゃっていて。私だけじゃなくて、皆さん一人一人に回って同じことを言っていたので、役者さんファーストな方だなと、そのときに強く感じました」(森田氏)

 桑野氏も、シリアスな役の印象が強かった森田のコメディエンヌぶりに撮るたび驚かされているという。

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