違いを認め合い慈悲の心を持つことが大事

――人種やジェンダー、宗教など、多様化する社会の中でも大事な心得だと思います。

 お経の中に「差別(しゃべつ)」という言葉があります。一般的に使う「差別(さべつ)」とは違う、仏教独自の言葉です。これは何かというと、男性は力が強く、女性は弱い。妊娠・出産は女性にしかできない。こうした生き物としての違い=“生物的差別(しゃべつ)がある”と書いてある。ただし、法(教え)だけは、すべてにおいて平等だと。

 じつは大雲という私の名前の由来もそこにあります。どんな人にも同じように雨を降らす雲。この世で唯一平等なのはそれのみで、その他はどうしても違いが出る。これを差別(しゃべつ)といって、互いに羨んだり卑下するものではないというのが仏教の教えです。

 インドやタイなど、宗教心の強い国に行くと、強い者が弱い者を助ける慈悲の精神をさまざまなシーンで目にします。日本でも、例えば四国ではお遍路さんを助ける風習が残っていますよね。富を独り占めしたい、自分さえ良ければいいという風潮の中で、そうした慈悲の精神は、より重要なものになっていると思います。

――そうした内容がぎっしり詰まった『仏教レコード』を、どんな人に届けたいと思われますか。

 これから自信をなくしていく、すべての人たちです。何でもかんでもロボットがやってくれるし、AIが悩みや欲望に応えてくれるようになり、AIと結婚したいと願う人さえいる今、人の存在理由が大きく揺らいでいます。

 産業革命以来の大きな変化が進むなか、「人間ってなんだろう」「生きる意味があるんだろうか」と悩み、虚しさを感じる人が増えています。そんな時代だからこそ、この本に記したお経の言葉が、小さな灯火となることを願っています。

» 前篇を読む

三木大雲(みき・だいうん)

光照山蓮久寺第38代住職。怪談を切り口にした「怪談説法」を確立。実際にあった相談に基づく怪奇現象、自身の体験など、現代の怪談を説法へと繋ぎ、考え方や生き方、死生観が変わる仏教の教えを説く活動をしている。テレビやラジオ出演のほか、YouTubeでの発信、イベント出演等多岐にわたり活躍中。2024年に刊行した『お経から読み解く未来予言 仏教コード』(Gakken)は10万部を突破。YouTube「三木大雲チャンネル」登録者数46万人、「三木大雲の人類大会議」登録者数16万人。2026年3月スタートの「三木大雲のポジティ部ラジオ」も好評。※2026年9月現在の情報です。

お経に記された宝のありか 仏教レコード

定価 1,650円(税込)
Gakken
» この書籍を購入する(Amazonへリンク)

最初から記事を読む それは異端か、正統か――お釈迦様は本当に発光していた?...