日本古来の陶磁器窯のうち中世から現在まで生産が続く代表的な6つの産地、日本六古窯。そのひとつに数えられ、約1000年の歴史を誇る焼きものの産地が愛知県常滑市。長い歴史の中で、なぜこの地の焼きものは人々に愛され、途中で絶えることなく、文化として深く根付いてきたのでしょうか。
土と焼きものの文化に触れられるミュージアムと常滑の町歩き、常滑に生きる人の声からその答えが見えてきました。
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土と焼きものの文化に触れるINAXライブミュージアムへ
愛知県常滑市は、知多半島の中央部西海岸にあります。東京駅から電車で行く場合は、東海道新幹線で名古屋駅へ。名鉄に乗り換えて約30分で常滑駅に到着します。
常滑の焼きもの文化を知る旅は、常滑駅からバスで約6分のところにある、LIXILが運営する土と焼きものの文化施設「INAXライブミュージアム」からスタートするのがおすすめです。
住宅設備機器を提供するLIXILがなぜ焼きもの? と思われる方もいると思いますが、LIXILの水まわり製品ブランド「INAX」の前身は、常滑市の伊奈製陶で、創業者である伊奈家は焼きもの文化と深い関わりのある一族でした。
常滑の焼きもの文化の発展を支えた伊奈家
「伊奈家はもともとは、江戸時代から甕を作る陶工の家だったんです。1766(明和3)年に初代伊奈長三郎が茶器や酒器などの小物の製造をはじめ四代続いたのですが、明治時代に入り、五代目のときに時代の流れにあわせて、陶芸から産業としての焼き物に舵を切りました。
その五代目にあたるのが伊奈初之烝さんで、その息子の伊奈長太郎(後の長三郎)さんが、伊奈製陶の創立者なんです。当時は日本が近代化していく中で、鉄道網の工事や下水を整備するために土管が必要で、その土管を近代的な製法で作るために親子で取り組んだ方たちなんですね。その後は、タイルやテラコッタのビジネスに着手したりして、会社をどんどんと大きくし、1985(昭和60)年にINAXに社名を変更。今ではLIXILに、その技術や精神が受け継がれています。
伊奈長三郎さんは、常滑市の初代市長も務められ、ここ常滑でも信頼の厚かった一族です。陶芸と陶業の振興のために当時の伊奈製陶の株を常滑市に寄贈されました。それを基金にして運用してまして、その資金でとこなめ陶の森 陶芸研究所を設立するなど、今でも陶業、陶芸の発展のために使用されています」(尾之内さん)
